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事業承継、ソコが聞きたい! 第10回 金融機関とのやりとり(3)「参考となる法律やガイドラインなど」

 

今回は金融機関を利用する際に参考になる、金融庁のガイドラインや中小企業経営承継円滑化法などをご紹介します。

参考:金融庁の『経営者保証ガイドライン』

経営者保証は、経営者への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方で、次のような課題もあり、事業承継でも大きな障害になっています。

○経営者保証の課題1.

「個人保証への依存が、借り手・貸し手双方が本来期待される機能(情報開示、事業目利き等)を発揮していく意欲を阻害している」

○経営者保証の課題2.

「個人保証の融資慣行化が、貸し手側の説明不足、過大な保証債務負担の要求とともに、借り手・貸し手間の信頼関係構築の意欲を阻害している」

○経営者保証の課題3.

「経営者の原則交代、不明確な履行基準、保証債務の残存等の保証履行時等の課題が、中小企業の創業、成長・発展、早期の事業再生や事業清算への着手、円滑な事業承継、新たな事業の開始等、事業取組の意欲を阻害している」

これに対して、金融庁の『経営者保証に関するガイドライン』(平成25年)では、経営者の個人保証について、次のようなガイドラインを定めることにより、経営者保証の弊害を解消し、経営者による思い切った事業展開や、早期事業再生等を応援しています。また、経営者保証に依存しない融資の拡大も謳っています(参考:金融庁ホームページ http://www.fsa.go.jp/news/25/ginkou/20131209-1.html)。

  1. 「法人と個人が明確に分離されている場合などに、経営者の個人保証を求めないこと」
  2. 「多額の個人保証を行っていても、早期に事業再生や廃業を決断した際に一定の生活費等(従来の自由財産99万円に加え、年齢等に応じて100万円~360万円)を残すことや、『華美でない』自宅に住み続けられることなどを検討すること」
  3. 「保証債務の履行時に返済しきれない債務残額は原則として免除すること」

参考『中小企業経営承継円滑化法』

中小企業の経営承継は、雇用の確保や地域経済活力維持の観点からもきわめて重要です。
中小企業の円滑な事業承継を行う際に次の3つの課題があるとされています。

○中小企業の事業承継の課題1. 「民法上の遺留分の制約」

○中小企業の事業承継の課題2. 「代表者交代による信用不安」

○中小企業の事業承継の課題3. 「自社株式等にかかる多額の相続税負担」

そのため、中小企業経営承継円滑化法では、このような課題への次のような対策が設けられました。

○中小企業経営承継円滑化法の対策1. 「遺留分に関する民法の特例」

○中小企業経営承継円滑化法の対策2. 「金融支援制度を創設」

○中小企業経営承継円滑化法の対策3. 「相続税の納税猶予の特例を創設」

これらの特例や支援制度は、経済産業大臣の認定を受けたうえで適用できるようになります。 これらは当初、親族内承継を想定した施策になっていましたが、近年、事業承継の形態が多様化し、近年は親族外承継が約4割と増加傾向になっています。
こうした状況も踏まえ、平成28年度に法律の一部が改正され、親族外承継でも活用できるようになりました(参考:中小企業庁ホームページ『中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律案【承継円滑化法】の概要』http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/160401shoukei.html)。

参考:『金融仲介機能のベンチマーク』

多くの金融機関は、経営理念や事業戦略等などで、取引先企業のニーズや課題に応じた融資やソリューション(解決策)の提供等を行うことにより、取引先企業の成長や地域経済の活性化等に貢献していく方針を掲げています。
しかし、企業側からは「金融機関は、相変わらず担保・保証に依存しているなど対応は変わっていない」といった声が依然として聞かれます。
そこで、金融庁では、金融機関自身の取組みの進捗状況や課題等について客観的に示すことができる多様な指標『金融仲介機能のベンチマーク』を平成28年9月に策定し、公表しました。
金融仲介機能のベンチマークにある共通指標には、次の項目があります(参考:金融庁ホームページ http://www.fsa.go.jp/news/28/sonota/20160915-3.html)。

1.共通ベンチマーク

項目共通ベンチマーク
(1)取引先企業の経営改善や成長力の強化1.金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額の推移
(2)取引先企業の抜本的事業再生等による生産性の向上2.金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況
3.金融機関が関与した創業、第二創業の件数
4.ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)
(3)担保・保証依存の融資姿5.金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び

 

また、個別の指標として、取引先企業の事業性評価に基づく融資への取り組みも取り上げられています。

2.選択ベンチマーク

項目選択ベンチマーク
(2)事業性評価に基づく融資等、担保・保証に過度に依存しない融資5.事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数
6.事業性評価に基づく融資を行っている与信先の融資金利と全融資金利との差
7.地元の中小企業与信先のうち、無担保与信先数、及び、無担保融資額の割合(先数単体ベース)
8.地元の中小企業与信先のうち、根抵当権を設定していない与信先の割合(先数単体ベース)
9.地元の中小企業与信先のうち、無保証のメイン取引先の割合(先数単体ベース)
10.中小企業向け融資のうち、信用保証協会保証付き融資額の割合、及び、100%保証付き融資額の割合
11.経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)

 

プロフィール

一般社団法人 多摩経営工房(多摩ラボ)

中小企業診断士、社会保険労務士、税理士、ITコーディネータ等の資格を持つプロのコンサルタント集団で構成されている。
さまざまな分野や業種での実務経験が豊富な専門家が、日本経済を支える中小企業の役に立ちたいという強い意思と情熱を持ち、また日本の中小企業が持つ優れた技術やサービスを広く海外に展開し、国際社会にも寄与すべく以下の活動を行っている。

  • 多摩地域の企業の経営課題解決のため、地元密着でサポート
  • 企業と行政・金融機関などを繋ぐパイプ役として、また専門的知識を活用した中小企業施策の活用支援など、幅広い活動を通して企業発展を支援

多摩経営工房(多摩ラボ)ホームページ
http://tama-labo.jp/

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プロフィールページ:落合 和雄(落合和雄税理士事務所)