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事業承継、ソコが聞きたい! 第9回 金融機関とのやりとり(2)「公的金融機関、公的制度の活用」

 

前回に引き続き、事業承継をする際の金融機関とのやりとりを解説します。 今回は公的金融機関への相談方法などを中心にご紹介します。

公的金融機関への相談

事業承継にはさまざまな資金が必要ですが、日頃、取引がある金融機関だけでは十分に融資が引き出せない場合があります。
特に、経営状況が厳しく事業再生を伴うような事業承継においては、民間の金融機関からの融資は難しくなります。しかし、そのような場合でも、公的金融機関から融資が受けられる可能性があります。

「日本政策金融公庫」の利用

「事業承継・集約・活性化支援資金」を活用して、融資限度額は7億2千万円、返済期間は設備資金で20年以内、運転資金で7年以内の融資を受けることができます。融資を受けるためには、「中小企業経営承継円滑化法」の認定を受け、金融機関等の審査を経ることが必要です。

「保証協会別枠制度」の利用

信用保証協会は、そもそもは貸付を行う機関ではありませんが、中小企業が民間の金融機関から貸付を受ける際の信用を提供する機関です。
通常の保証枠で、普通保険で2億円、無担保保険で8000万円、特別小口保険で1250万円が用意されています。
一方で、事業承継に関する融資を受ける場合には、別枠として普通保険で2億円、無担保保険で8000万円、特別小口保険で1250万円の保証が受けられます。
この別枠の保証を受けるには、「中小企業経営承継円滑化法」の認定を受けることが前提となります。

各種助成金の利用

地域によっては、独自に事業承継に関する助成金制度を設けていることがあります。条件は、助成金ごとに異なりますので、事業承継に使える助成金がないか地域の商工会・商工会議所などに問い合わせてみることも大切です。

参考:【事例】金融機関の支援により後継者教育に取り組んだ事例

(金融機関のアドバイスと支援策を活用したケース)

A氏は、東北の中核都市にある中堅の梱包材製造業の2代目社長です。梱包材業界の外部環境は非常に厳しい状況にあり、日頃から、今後の会社をどうするか悩んでいました。もし、自分の息子に事業を譲るのであれば、A氏自身への事業承継が突然であり非常に苦労したことから、3代目への事業承継は計画的に進めたいとも思っていました。

日頃から付き合いのある地方銀行の担当者に相談したところ、地域の商工会議所の専門家派遣の制度があり、事業診断を受けてみてはどうかとアドバイスをもらいました。せっかくの機会なので、息子も同席し、派遣された専門家と、自社の事業の強みを整理したり、今後の事業展開について意見交換をしたりしました。そして、自社の強みや課題が理解でき将来への展望を持つことができたことにより、息子は後継者になることを決心してくれました。

その後、地方銀行の担当者に息子が後継者になったことを伝えたところ、銀行が主宰している経営塾への参加も勧められました。この塾では、経営について学ぶことができただけでなく、同じ地域にある会社の後継者候補との交流を通して、息子自身もネットワークを拡大することができました。更に、銀行は、事業承継時の相続問題などへの支援プログラムも持っていたため、手続きもスムーズに進められ、必要な資金を融資してもらうことができました。

銀行の支援により事業承継できたことで、後継者に対する銀行の信頼は高く、その後、類似事業を行う会社をM&A する時にも支援を受けることができました。

 

プロフィール

一般社団法人 多摩経営工房(多摩ラボ)

中小企業診断士、社会保険労務士、税理士、ITコーディネータ等の資格を持つプロのコンサルタント集団で構成されている。
さまざまな分野や業種での実務経験が豊富な専門家が、日本経済を支える中小企業の役に立ちたいという強い意思と情熱を持ち、また日本の中小企業が持つ優れた技術やサービスを広く海外に展開し、国際社会にも寄与すべく以下の活動を行っている。

  • 多摩地域の企業の経営課題解決のため、地元密着でサポート
  • 企業と行政・金融機関などを繋ぐパイプ役として、また専門的知識を活用した中小企業施策の活用支援など、幅広い活動を通して企業発展を支援

多摩経営工房(多摩ラボ)ホームページ
http://tama-labo.jp/

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プロフィールページ:落合 和雄(落合和雄税理士事務所)