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事業承継、ソコが聞きたい! 第4回 親族内後継者の育成

 

今回は、親族内承継での後継者をどうのように育成するのか、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

親族内後継者を育成する

前回解説したように、親族内後継者の資質や適性は長期に渡る子育ての課題でもありますが、経営能力については育成で習得させることができます。
今回は、事業の後継者を育成するための具体的なポイントを説明します。

育成のポイント1.「経営理念の確立・継承」

「会社が何のために存在するのか、目的は何か、どのように社会に貢献するのか」という経営理念を、現経営者が確立して継承することが基本です。

現在の経営者が経営理念を軸に据えて、後継者の導き役となることが大切です。
現経営者が、後継者の人生観、社会観、世界観を養成し、正しい経営を行う道標を持てるようにして、社員やお客さまにも言うべきことは言い、なすべきことはなすという力強い行動力を培います。

また社員が経営理念のもとに互いに力を合わせた活動を生み出すことで、会社の健全な発展にもつながります。

このように、まずは経営理念を確立することが大切です。
経営理念が明文化されてない場合などは、現経営者が後継者とともに協力して作り上げることで、後継者に自分の中で腹落ちさせることも有効です。

育成のポイント2.「経営知識の習得(社内ローテーションや他社修行)」

後継者の育成は、いきなり責任ある地位に就けるのではなく、後継者として経営について学ばせる前に、会社の行っている事業について理解させるため、営業、製造、財務、管理部門等をローテーションさせて社内のさまざまな仕事をひと通り経験させます。

取引先企業や同業他社等に就職させて、数年修業させて独自の人脈形成の機会をつくるのもひとつの方法です。
他社での修行後に自社に迎え入れる場合は、よほどのキャリアがなければ、いきなり役員とすることは避けるべきでしょう。
まずは従業員として入社させ、自分の会社の各部門をローテーションで経験させ、経営者に必要な専門知識や現場とのコミュニケーションを習得させることが望ましいです。

社内の各部門のローテーションでは、経営者としての教育という面だけでなく、従業員への「顔見せ」の機会にもなります。社内ローテーションの中で金融機関への挨拶もしておくとよいでしょう。
ローテーションの中での役職については、後継者の成長に合わせた職務や役職を与えるというやり方が、従業員や取引先の理解を得やすく、不釣合いな役職を与えて後継者が重責に押しつぶされる危険を減少させます。

育成のポイント3.「経営知識の習得(計数管理能力)」

経営に必要な能力としては、重要な経営判断に際して適切な選択をする経営判断能力や、予算管理や原価管理、資金繰り等の会社の数字を把握するのに必要な計数管理能力といった財務に関する能力が必要です。
このうち、財務に関する計数管理能力に関しては、経営状態を財務諸表から読み取り正確な経営判断を行う基礎的で重要な能力です。自社の経営環境を知るために必要不可欠なので、市販の書籍やコンサルティング会社が開催するセミナー等に参加して一度はきちんと学習する必要があります。

育成のポイント4.「経営判断能力の開発(PDCAを回す)」

経営判断は、手元にある情報をもとにしてその場では正解のない判断をするものです。
ある程度先を見越して予想を立てて実行し、実績とのズレを検証し改善対応するという経営の意思決定のサイクル(いわゆるPDCAサイクル)をまわし続けることで、予測可能性を養っていくことになります。

すなわちP(Plan:事業計画短期・中長期と実行計画の策定)→D(Do:計画の実行)→C(Check:実績の評価・検証)→A(Action:改善)を回し続けることで、先を見通して事業を予測し、次の手を打つという経営勘ともいうべき経営判断能力が養われていきます。

育成のポイント5.「経営判断能力の開発(中期経営計画の策定)」

重要な経営判断に必要な能力に予測可能性があります。
この予測可能性を養うためには、「中期経営計画の立案」と「中期経営計画に基づくプロジェクトの進行」の実施が最適です。後継者は責任者として将来に向けた会社づくりを行いながら、経営判断能力を身につけていくことができます。

 

プロフィール

一般社団法人 多摩経営工房(多摩ラボ)

中小企業診断士、社会保険労務士、税理士、ITコーディネータ等の資格を持つプロのコンサルタント集団で構成されている。
さまざまな分野や業種での実務経験が豊富な専門家が、日本経済を支える中小企業の役に立ちたいという強い意思と情熱を持ち、また日本の中小企業が持つ優れた技術やサービスを広く海外に展開し、国際社会にも寄与すべく以下の活動を行っている。

  • 多摩地域の企業の経営課題解決のため、地元密着でサポート
  • 企業と行政・金融機関などを繋ぐパイプ役として、また専門的知識を活用した中小企業施策の活用支援など、幅広い活動を通して企業発展を支援

多摩経営工房(多摩ラボ)ホームページ
http://tama-labo.jp/

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プロフィールページ:落合 和雄(落合和雄税理士事務所)