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知的財産、ソコが聞きたい! 第6回 特許編「いろいろな知的財産」

 

前回は、特許とは何かを解説しました。今回は、特許と一緒に語られることの多い「実用新案」と「意匠権」「著作権」などを解説します。

小さな発明の「実用新案」

特許では発明を保護していますが、特許での発明は「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」のことです。

この特許の「高度な発明」に対して、実用新案は比較的レベルの低い「技術的思想の創作」を保護します。要は、「小さな発明」のことです。
この実用新案の出願でも、特許と同様に図面が必要となります。
またこれも特許と同様ですが、出願前に発表や販売をしてしまうと実用新案は認められないため、注意が必要です。

「特許」と「実用新案」の違い

特許と実用新案の最も大きな違いは、出願後の扱いです。
特許の場合は出願しただけでは認可されないことがありますが、実用新案では審査がないため、出願すればすべて登録されます(無審査主義)。

また、特許が出願から認可されるまでには審査を請求してから1年から2年程度の時間がかかります。
一方の実用新案では、登録されるまでにかかる期間は4ヶ月から6ヶ月です。特許と比べると短期間のうちに権利化ができます。

特許権と実用新案権の保護期間

特許と実用新案では、保護期間にも違いがあります。特許権では出願日から20年で、実用新案権は10年です。

権利が認められるまでに時間がかかる特許では、「旬」が終わってしまう場合もあります。簡単な発明で、タイミングが大切な場合には、実用新案を出願することになります。
つまり実用新案は、短い期間で儲ける商品などに適しています。

特許権と実用新案権の保護対象

特許では「物」「方法」を保護対象にしますが、実用新案では「物品の形状」「構造または組合せ」を保護対象にします。
このため、コンピュータプログラム、計測方法、製造方法などのアイデアは、実用新案にはなりません。特許として出願する必要があります。

実用新案の落とし穴

実用新案では、他人に対して権利を主張する場合に審査が必要になります。
このとき特許庁の審査官が「実用新案技術評価書」という書類を作成しますが、その評価内容が低いと、権利を主張できなくなります。 実際に権利を主張するためのハードルの高さは、特許も実用新案も同じなのです。
このため、実用新案は特許と比較すると、あまり使い勝手の良い権利ではないともいわれています。

工業デザインのための「意匠権」

意匠権とは、工業デザインを守る知的財産権です。
意匠権で代表的なのが、車や衣服のデザインです。このような工業製品、つまり工業的に大量生産できる商品のデザインであることが意匠権の条件となっています。

意匠権も特許や実用新案と同じように、図面を添えて願書を出す必要があります。また、特許と同じく審査があります。

ビジネスに不可欠な産業財産権

商標権、特許権、実用新案権、そして意匠権を総称して、産業財産権といいます。
意匠権は、安いコピー商品を取り締まるのを目的とした産業財産権です。

たとえば1999年に、アップル社のiMacのデザインを模倣したパソコンe-oneをSOTEC社が発売しました。アップル社は提訴し、SOTEC社だけでなく各社から販売されていたiMacを真似たパソコンは全て販売差し止めになりました。

表現の権利を守る「著作権」

著作権は、これまで説明してきた先願主義の産業財産権(商標、特許、実用新案、意匠権)とは違い、著作物ができたと同時に自動的に権利が発生します。
特許や実用新案は絶対的な権利で、似たような発明が既にあった場合は、認められなくなります。
しかし著作権は、相対的な権利です。つまり、似たような物がすでにあったとしても盗用しなければ問題ありません。

著作権にも文化庁への登録制度がありますが、これは著作権を取得するためのものではありません。著作権関係の法律事実の公示ができるようにすることと、著作権が移転した場合に取引の安全の確保できるようにすることを目的としたものです。

次回は、日本と世界の特許制度について解説いたします。

解説者プロフィール

平野泰弘(ひらの・やすひろ)さん
日本弁理士会所属:弁理士登録番号12757号
特定侵害訴訟代理業務付記弁理士。ファーイースト国際特許事務所代表。

大手総合メーカーの知的財産部門の社内弁理士を経てファーイースト国際特許事務所を開設。
特許庁の審査・審判、地裁、知財高裁、最高裁等の代理人受任の実績も豊富で、特許庁出願は5年間で連続1000件以上ある。テレビや新聞をはじめとしてメディア出演、掲載実績も多数。
著書に『社長、商標登録はお済みですか?』(ダイヤモンド社)

事務所ホームページ
https://riskzero.fareastpatent.com/

著書

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弁理士 平野 泰弘