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会社が訴えられたら4~未払い金、経営難で会社が訴えられた場合の対処方法~

 

  • 買掛金の支払いが遅れて取引先から督促されている
  • リース料の支払いが苦しい
  • 会社が未払い金の債権回収で訴えられたらどのように対応すればよいのか?
  • 経営難で多くの債権者から訴えられている…

会社が多額の負債を抱えて支払いをできなくなると、債権者から訴えられる可能性があります。
以下では会社が未払い金で訴えられた場合のケース別対処方法をご紹介していきます。

1.未払い金で会社が訴えられたとき、まずとるべき行動とは

1-1.支払えなくてもいきなり裁判されることは少ない

買掛金を期日までに支払えなかったりローン返済が滞ったりすると、取引先や金融機関から督促が来ます。「内容証明郵便」で請求書を送られて「支払いをしなければ裁判をします」と予告されるケースもあるでしょう。

一般的に、まずは電話や書面などの方法で督促が来ることが多く、いきなり裁判を起こされることはほとんどありません。

1-2.請求内容が正しいか、確認する

未払い金の請求を受けたとき、重要なのは請求内容を確認することです。未払い金があっても相手の認識が必ずしも正しいとは限りません。支払時期や金額について勘違いをしている可能性もあります。
間違っている場合、指摘して正しい金額に修正すべきです。

1-3.支払えるか支払えないか検討する

次に請求金額を支払えるか支払えないか、検討します。
実際に未払い金が発生しているなら支払う義務があるので、会社が支払える状況であれば早急に相手に連絡を入れて支払ってしまいましょう。
スムーズに支払いができれば信用も維持されるので、取引を切られずに継続しやすくなりますし、金融機関からの融資も継続できます。

一方会社の経営状態が苦しかったり負債があまりに多額になっていたりすると一括での支払いは困難です。その場合、別途の対応が必要となります。

2.支払いができない場合

一括で支払いができない場合には、以下のように対応しましょう。

2-1.交渉する

まずは相手と交渉をして、支払金額の減額や分割払いの合意を取り付けるよう努力しましょう。
普段から取引のある相手であれば、事情を話せば理解してくれて支払金額の減額に応じてくれることもありますし、長期分割にしてもらえる可能性もあります。
今後業績が回復すれば、残債を一括で返済することもできるので、そういったことも提案してみましょう。

交渉が成立したら、負債の支払いについての「和解契約書」「合意書」を作成して、その後は決まった内容に従って支払いを続けていきます。

2-2.リスケジュール

金融機関からの借入金を支払えなくなった場合には、リスケジュールの交渉をしてみましょう。リスケジュールとは、現在のローン支払い方法を変更することです。
現在業績が落ち込んで支払いが苦しくなっているなら1年間に限って利息のみの支払いにしてもらえたりします。
ただし業績が回復する具体的な見込みや説得的な事業計画、資金繰りの計画などを示さないと金融機関がなかなか了承しないので、専門的な対応が必要です。

2-3.債務整理

上記のような対応では解決できない場合には、債務整理が必要です。
債務整理とは、法的に負債を整理する方法です。
企業の債務整理手続きには以下のような種類があります。

私的整理

私的整理は、債権者と直接交渉をして負債の支払金額や支払い方法、利息などの条件を決め直す手続きです。
金融機関や取引先、リース債権者などと裁判外で個別に交渉をするので、すべての債権者を対象にする必要はありません。特に支払いの苦しい相手のみ対象とすることも可能ですし、信用を失いたくない取引先を対象から外すこともできます。
一般的には銀行相手に私的整理を行うことが多数です。
私的整理しても会社はなくなりませんし、合意できて負債問題が解決されれば、その後は普通通りに営業できます。

民事再生

民事再生は負債を大きく圧縮して、圧縮分のみを支払えば負債を完済したことにしてもらえる手続きです。
私的整理とは異なり裁判所を通じた手続きなので、厳格です。
またすべての債権者を対象にする必要があるため、信用を失いたくない取引先だけ外すことも不可能です。
ただし私的整理より強い効力があり、強制的に負債を元本ごと大きく減額できます。
また民事再生をしても会社はなくならず、経営陣がそのまま残って経営を続けていけるケースも多数あります。

自己破産

会社の負債が大きすぎて圧縮しても支払いが困難な場合や会社をたたみたい場合には、自己破産を検討しましょう
会社が自己破産すると負債はすべて清算され、会社とともに消滅します。その後は一切の支払いが残りませんし、代表者個人に返済義務が及ぶこともありません。
ただし自己破産すると会社は完全になくなるので、その後も経営を続けたい方には向きません。

会社更生

大会社の場合には、会社更生という方法で会社を再生させることも可能です。会社更生をすると、スポンサーをつけるなどいろいろな大規模な手法で再生のための措置をはかれます。
ただし高額な予納金がかかり手続きも大げさなので、中小企業はあまり利用しません。
また管財人がつくので経営陣がそのまま残ることも不可能です。

3.裁判を起こされたときの対処方法

会社が債務を支払わなかったために債権者から裁判を起こされたら、以下のように対処しましょう。

3-1.訴状の内容を確かめる

まずは裁判所から届いた封筒を開けて、訴状などの書類を確かめます。相手が何を主張しているのか見て、反論するのか認めるのか検討しましょう。
そして「答弁書」を作成します。相手への反論や自社の言い分を詳細に書きましょう。
主張を補強するための証拠もつける必要があります。

3-2.弁護士に相談する

裁判を起こされたとき、自社のみで対応するのは困難です。顧問弁護士がいたら、アドバイスは無料ですし訴訟や債務整理にも割引料金が適用されるので、コストを抑えつつ効果的な対応が可能となります。
会社が訴えられたときに顧問弁護士がいると,非常にメリットが大きくなります。

顧問弁護士がいないのであれば、企業法務に強い弁護士を探して対応を依頼しましょう。

未払い金の支払いで訴えられても慌てる必要はありません。弁護士の力を借りて、状況に応じた適切な対処を進めていきましょう。

 

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この記事を書いた人:元弁護士 福谷陽子

京都大学法学部 在学中に司法試験に合格
勤務弁護士を経て独立、法律事務所を経営する
約10年の弁護士キャリアの後にライターに転身
現在は法律ジャンルを中心に、さまざまなメディアやサイトで積極的に執筆業を行っている

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