会社が訴えられたら2~顧客と会社とのトラブル~
会社が民事訴訟(民事裁判)の被告となる場合「顧客」や「取引先」とのトラブルの事例が多くなっています。 |
目次
1.会社が取引先や顧客から民事裁判をされるケースの例
会社が取引先、顧客から訴訟を起こされる場合には、以下のような例があります。
1-1.取引先から訴えられるケース
下請け企業から代金請求される
元請け企業が下請け企業に建築請負やソフトウェア開発などを発注し、約束通り代金を払わなかったら未払い代金の請求訴訟を起こされます。
納品した成果物に瑕疵があったと主張されて解除や損害賠償を請求される
たとえば建築したマンションなどに瑕疵があったら、引き渡し後に契約解除や損害賠償請求の訴えを起こされる可能性があります。
クライアントから代金請求や契約解除を請求される
アプリ開発やデザインなどを依頼して代金を払わなかったら代金請求の裁判を起こされます。反対にこちらが依頼を受けたのに契約通りに仕事をしなかったら、契約解除を主張される可能性があります。
違約金の請求をされる
契約で定めた重要事項を守らなかった場合、契約にもとづいて違約金の請求をされて訴えられるケースもあります。
不動産取引を行ったら、錯誤無効や詐欺取消を主張された
不動産を売却したら、取引相手が「錯誤無効」「詐欺取消」などを主張して代金返還請求などの訴訟を起こしてくるケースがあります。
契約の途中解約を求められ、拒絶していたら裁判を起こされる
期間のある契約では相手からさまざまな理由で途中解約を求められ、拒絶すると訴訟を起こされる例があります。
1-2.一般ユーザーから訴えられるケース
建築会社が建築・リフォームした家に瑕疵があるとして訴えられる
住宅建築会社では、注文を受けて住居を建築して引き渡したのに、その後瑕疵が見つかったとして代金減額や代金返還、解除などを請求されるケースがあります。
リフォームした場合も同じです。
不動産の仲介をしたら、説明義務違反で訴えられる
不動産会社が売買の仲介を行うときには、必ず対象不動産についてきちんと調査をして危険がないように取りはからわねばなりません。
それにもかかわらず調査や説明を怠って顧客の損害を与えたら、損害賠償請求訴訟を起こされる可能性があります。
不動産を売却したら、詐欺取消やクーリングオフを主張される
消費者相手に不動産を売却した場合には、クーリングオフの規程が適用されるケースがあります。またクーリングオフが適用されないケースでも詐欺取消や錯誤無効の主張は可能です。こうした要求を拒絶していると、民事訴訟を起こされて代金返還請求をされる可能性が高くなります。
エステなどで事故を起こし、訴えられる
エステ店などを経営していると、施術中に事故が発生してしまうことがあります。すると顧客から損害賠償請求訴訟を起こされます。
物を販売したら、不着として引き渡し請求される
物販の会社の場合、物を販売したときに不着であれば引き渡し請求されることがあります。また物に欠陥があれば、代金減額や解除にもとづく代金返還請求、欠陥によって損害が発生した場合には損害賠償請求訴訟も起こされます。
クレーマーからの訴え
企業が社会内で活動していくとき、必ずクレーマー対策が必要です。不当請求を行うクレーマーは、どのような業種にも発生します。
訴訟前の対応でトラブルを納めるのが望ましいですが、ときには抑えられずに訴訟を起こされるケースもあります。
2.会社が顧客から訴えられたときのリスク
会社が顧客から訴えられると以下のようなリスクがあります。
2-1.経済的なリスク
高額な代金支払いや損害賠償請求をされることによって発生する、経済的なリスクです。一気に高額な支払いを強制されることにより財務状態が厳しくなって倒産の危機に追い込まれる危険性もあります。
2-2.社会内での信用リスク(イメージ低下)
取引先や消費者から訴訟を起こされたとなると、企業に対するイメージが大きく低下します。大々的に「この会社の商品には欠陥がある」と主張されたら消費者に「もうそこの商品は買わない」と思われるでしょうし「詐欺取消」を主張されたら「悪徳業者」と思われてしまいます。
相手がクレーマーであっても一般社会にはそのことがわからないので「消費者に迷惑をかけている企業」と受け止められる可能性があります。
2-3.従業員の士気低下
会社が訴えられたことを従業員に知られると不安を煽る結果となります。「この先会社はどうなるのか?」「このままここにいても良いのか?」などと考えて退職する者も現れるでしょう。
会社が訴えられると個人とは異なるリスクも発生するので、早期にうまく解決する必要があります。
3.会社が顧客から訴えられたときの対処方法
会社が顧客から訴えられたら、以下のように対応すべきです。
3-1.まずは弁護士に相談する
弁護士に相談することは最重要です。自社のみで判断すると適切な決定ができずに将来不利益を受ける可能性が高まるからです。顧問弁護士がいたらすぐに連絡を入れ、もしいなかったら企業法務に強い弁護士をネットなどで探して問合せをしましょう。
3-2.対応を検討する
次に弁護士に届いた訴状と証拠を見せて実情を説明し、対応を検討する必要があります。相手の言い分が正当なのか間違っているのか不当要求なのかなどで、対応が全く異なってきます。納得できるまで弁護士とよく相談して、裁判に対する態度を決定しましょう。
3-3.和解も検討する
裁判が始まったら和解も検討すべきです。和解で終わらせればトラブルを早期解決できますし、相手やマスコミも騒いだりしません。信用低下を最小限に食い止められます。
また支払える範囲で和解できたら差押えをされて経営状態が悪化するリスクも避けられます。