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「顧問弁護士の変更・乗り換え手続きを弁護士が解説|解約の伝え方・引き継ぎ・注意点」

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顧問弁護士は、会社の状況や経営課題の変化に応じて変更できます。現在の顧問弁護士との相性や対応内容に不満がある場合でも、契約内容を確認し、適切な手順を踏めば、円滑に乗り換えることが可能です。
解約の方法や引き継ぎを誤ると、余計な費用負担やトラブルにつながるおそれがあります。また、新しい顧問弁護士を決める前に現在の契約を終了してしまうと、法律相談ができない空白期間が生じるリスクもあります。
そこで本コラムでは、顧問弁護士の変更を検討すべきタイミングから、契約前に確認すべきポイント、具体的な変更手続きの流れについて解説します。

そもそも顧問契約の仕組みやスポット契約との違いから確認したい方は、「弁護士と顧問契約をするタイミングとメリット」をあわせてご覧ください。

1.顧問弁護士の変更を検討すべきサイン

顧問弁護士との関係に不安や不満を感じる状態が続く場合には、契約を見直すことも一つの選択肢です。
たとえば、法律相談への回答が遅れることが常態化している場合には、経営判断のスピードに支障を及ぼす可能性があります。また、質問に対する説明が専門用語ばかりで理解しづらかったり、一般論に終始したりする場合も、満足のいく顧問サービスを受けているとは言い難いでしょう。
さらに、顧問弁護士が会社の事業内容や業界の商慣習について理解が乏しい場合には、実務に即した助言を受けることが難しくなります。
契約書の確認や相談などをほとんど依頼していないにもかかわらず高額な顧問料を支払い続けている場合や、反対に会社の成長によって従来以上の専門的な支援が必要になった場合には、現在の契約内容が自社に適しているか見直す必要があります。

2.変更前に確認すべき現契約の条項(解約予告期限・精算方法)

顧問弁護士を変更する際には、現在の契約書を確認し、解約条件や費用の精算方法を把握してから手続きを進めることが重要です。契約内容を確認せずに解約すると、予定外の顧問料が発生したり、解約時期を巡るトラブルが生じる可能性があります。
まず確認したいのが解約予告期間です。顧問契約では「解約希望日の1か月前まで」などの条項が設けられていることが少なくありません。
次に確認すべきなのが、顧問料の精算方法です。月の途中で契約を終了した場合に日割計算となるのか、1か月分の顧問料が発生するのかは、契約内容によって異なります。未払いの顧問料や実費、成功報酬などが残っていないかも確認する必要があります。
さらに注意したいのが、進行中の案件の取扱いです。顧問契約とは別に訴訟や労働審判、契約交渉などを個別に依頼している場合には、顧問契約が終了しても、それらの案件が当然に終了するわけではありません。案件を現在の弁護士が最後まで担当するのか、新しい顧問弁護士へ引き継ぐのかについて協議することが重要です。

3.変更手続きの流れ【4ステップ】

顧問弁護士の変更は、①新弁護士の選定②解約通知③引き継ぎ④新しい契約の開始という順序で進めるのが基本です。この順番を守ることで、企業の法務体制に空白が生じることを防ぐことができます。

3-1. 新弁護士の選定

最初に新しい顧問弁護士を選定する必要があります。現在の契約を終了してから新しい弁護士を探し始めると、その間法律相談や契約書の確認などを依頼できない可能性があります。まずは複数の法律事務所を比較し、自社の業種や企業規模に適した顧問弁護士を見つけることが重要です。顧問料だけではなく、対応の速さや専門分野、相談方法、契約書レビューの範囲なども確認したうえで、自社に合った弁護士を選ぶことが望ましいでしょう。

3-2. 解約通知

新しい顧問弁護士が決まったら、現在の顧問弁護士へ解約の意思を伝えます。メールや書面など記録が残る方法で通知するのがよいでしょう。解約理由を詳細に説明する法的義務はありません。簡潔かつ丁寧に伝えることで円滑に解約できます。
解約通知の文例は以下のとおりです。

○○法律事務所
弁護士○○先生

平素より大変お世話になっております。
このたび、社内体制の見直しに伴い、顧問契約を終了させていただきたく、ご連絡申し上げます。
契約書の定めに従い、○年○月○日をもって顧問契約を終了させていただきます。
これまで多大なるご支援を賜りましたことに、心より感謝申し上げます。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

3-3. 引き継ぎ

解約通知を終えたら、進行中の案件や法律相談の履歴などについて引き継ぎを行います。特に訴訟や契約交渉など継続中の案件がある場合には、現在の進捗状況や今後予定されている期日、これまでの対応方針などを新しい顧問弁護士へ正確に伝えることが重要です。引き継ぎが不十分であると、対応が遅れたり認識が食い違ったりして会社に不利益が生じるおそれがあります。

3-4. 契約開始

引き継ぎが完了したら、新しい顧問契約を締結します。契約前に、顧問料だけでなく、どこまでが顧問業務に含まれるのかや緊急時の対応方法などについても十分に確認し、自社のニーズに合った契約内容となっているかあらためて確認することが大切です。

以下の記事もご参照ください。

顧問料の相場と弁護士費用・報酬の種類
顧問弁護士の費用対効果を高める考え方」 

4.引き継ぎで渡すべき資料リスト

顧問弁護士を変更する際は、新しい弁護士が会社の状況や進行中の案件を正確に把握できるよう、必要な資料を漏れなく引き継ぐことが重要です。
まず、新しい顧問弁護士が会社の基本情報を把握できるよう、定款や登記事項証明書、組織図など、会社の組織や運営に関する資料を引き継ぐとよいでしょう。
また、これまで締結した契約書や現在使用している契約書のひな型、利用規約、秘密保持契約なども重要な資料です。過去の契約内容や契約書の作成方針を把握することで、新しい顧問弁護士は継続的な対応が可能となります。
さらに、訴訟や取引先との交渉など、現在進行中の案件がある場合には、関係資料をできる限り整理したうえで、これまでの経緯や現在の状況とともに引き継ぐことも重要です。
日頃の法律相談に関する記録や、現在の顧問弁護士から受けた法的意見などについても、可能な範囲で引き継いでおくとよいでしょう。

5.変更時によくあるトラブルと注意点

顧問弁護士を変更する際には、契約内容を十分に確認し、余裕を持って引き継ぎを進めることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
実際によく見られるトラブルの一つが、解約日を巡る認識の違いです。電話だけで解約の意思を伝えた結果、「いつ契約が終了するのか」という認識に食い違いが生じ、追加の顧問料を請求されるケースもあります。このようなトラブルを防ぐためには、メールや書面など記録が残る方法で通知することが必要です。
また、進行中の案件の引き継ぎが十分に行われないことも少なくありません。特に裁判や労働審判、重要な契約交渉などでは、これまでの経緯や相手方とのやり取りを正確に共有できなければ、対応方針に混乱が生じるおそれがあります。引き継ぎには一定の時間を確保し、新旧の顧問弁護士が情報共有できる体制を整えることが重要です。
さらに、費用面についても注意が必要です。顧問契約を終了する場合、未払いの顧問料や実費、個別案件の着手金や成功報酬などについて精算が必要なこともあります。後日のトラブルを避けるためには、解約前に請求状況や精算方法を確認しておくべきでしょう。
最後に、現在の顧問弁護士に対する不満があったとしても、感情的な言動は避けるべきです。これまでの支援に対する感謝を伝えて誠実に対応することは、企業としての信頼を損なわないためにも大切です。

6.まとめ

会社の成長や事業内容の変化、あるいは現在の顧問サービスに不満がある場合には、顧問弁護士を変更することは経営判断の一つといえます。
企業の法務体制に空白期間を生じさせないためには、新しい顧問弁護士を決めてから現在の契約を終了することがポイントです。また、解約の際には感謝の気持ちを伝えながら丁寧に手続きを進めることで、不要なトラブルを避けやすくなります。
現在の契約が自社にとって最適なものかを定期的に見直し、必要に応じて適切なタイミングで顧問弁護士の変更を検討することが、安定した経営や法的リスクの軽減につながるでしょう。

7.よくある質問

Q.顧問弁護士の変更はいつでもできますか?解約のタイミングに制限はありますか?

A. 顧問契約は、契約書に定められた内容にしたがって解約することができます。ただし、「解約日の1か月前まで」などの予告期間が設けられていることも少なくありません。また、訴訟などの進行中の案件については、顧問契約とは別に委任契約が締結されている場合もあります。契約書を確認し、余裕を持って手続きを進めることが大切です。

Q.現在の顧問弁護士に解約を伝える際は、どのような方法・伝え方がよいですか?

A. 解約の意思は、メールや書面など記録が残る方法で伝えるのが望ましいです。解約理由を詳しく説明する法的義務はないので、「社内体制の見直し」など差し支えのない理由を簡潔に伝えれば十分です。これまでの支援への感謝を添えて丁寧に伝えることで、円満な契約終了につながります。

Q.顧問弁護士を変更する場合、進行中の案件や依頼中の業務はどうなりますか?

A. 進行中の案件は、顧問契約とは別の委任契約の内容によって取扱いが異なります。顧問契約を終了したからといって、すべての案件が自動的に終了するわけではありません。案件を現在の弁護士が最後まで担当する場合もあれば、新しい顧問弁護士へ引き継ぐ場合もあります。会社に不利益が生じないよう、案件の進捗や今後の予定を十分に共有し、円滑な引き継ぎを行うことが重要です。

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この記事を書いた人:弁護士 寺林智栄

2005年司法試験合格。2007年弁護士登録。弁護士業の傍ら、2013年より、webサイト上で法律記事の執筆を開始する。弁護士としての多様な業務の経験をもとにして、多様な法律分野で執筆活動を行っている。

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