顧問とは?役割・種類と外部顧問を活用するメリットを解説
企業経営において「顧問」という言葉は古くから存在していますが、その実態は時代の変化とともに大きく進化しています。かつては役員退任後の「名誉職」としての側面が強かった顧問ですが、現在は経営課題を解決するための「プロフェッショナルな外部の専門家」としての役割が期待されている職務です。
本記事では、顧問の本来の定義から、内部顧問と外部顧問の違い、そして現代の企業が外部の顧問を活用することで得られる具体的なメリットまでわかりやすく解説します。
顧問の本来の定義と役割:役員や従業員との違い
企業における「顧問」の役割とは、経営や事業の今後の展開などにおいてアドバイスを行うことです。以前は名誉職としてや、長年の実績や知見を持った方が就任することによる外部への信頼獲得の意味が大きかった顧問ですが、近年は違う役割も求められるようになっています。本章では顧問の本来の定義と役割や、役員・従業員との違いを整理します。
顧問の本来の定義と役割とは
顧問の本来の定義とは、企業や団体の経営・運営において、顧問に就任する方が持つ高度な専門知識や豊富な経験に基づき、経営全般に対してアドバイスを行う役職のことです。英語では「Advisor(アドバイザー)」や「Consultant(コンサルタント)」と表現されることもあります。
顧問には、会社法上の規定がありません。取締役や監査役といった「役員」とは異なり、設置の有無や選任方法は各企業の定款や内部規程によって自由に決めることができます。そのため、柔軟に各企業が顧問の役割を決めることが可能です。
取締役・参与・監査役との違い
顧問に近い役職として、取締役・参与・監査役も挙げられます。では、この3つの役職とはどのように異なっているのでしょうか。それぞれの役割・権限・法的責任には明確な違いがあります。
取締役は、会社の方針や重要な意思決定を行う経営の当事者です。業務執行の責任を負う立場であり、その権限と法的責任は極めて大きく会社法に基づいている役職です。
一方、参与は「役員待遇の従業員」という立ち位置が一般的です。専門知識を活かして現場の実務や業務執行をリードする、参画する役割を担います。特定の部門を統括する責任はありますが、経営全体の最終決定権や会社法上の役員責任は原則として負いません。
監査役とは取締役の業務が適正かつ適法に行われているかを、独立した立場から監査する立場です。経営判断そのものには加わりませんが、監査を怠った場合には取締役と同等の重い損害賠償責任を負う可能性がある、非常に責任の重い役職です。
これらに対し、顧問は専門知識や経験をもとに「助言」を行うパートナーです。経営判断や業務執行の権限を持たないため、原則として経営結果に対する法的責任は負いません。会社との契約に基づき、必要な時に柔軟に意見を述べる「参謀」としての性質が強いのが特徴です。
内部顧問と外部顧問の違いとは?役割・特徴を比較
日本における顧問の役割は、大きく分けて「外部顧問」と「内部顧問」の2つに分類できます。かつては内部顧問が主流でしたが、昨今のビジネスの複雑化に伴い、特定分野の課題を解決する外部顧問の重要性が急速に高まっています。ここでは、それぞれの役割と特徴を詳しく解説します。
外部顧問の役割と特徴
外部顧問とは、自社との資本関係や勤務経験がない、完全な第三者の立場から登用するスペシャリストです。弁護士や税理士、公認会計士といった士業から、IT、海外事業、マーケティングなどの特定分野で輝かしい実績を持つプロフェッショナルが多数活躍しています。
外部の人材のため社内のしがらみや慣習にとらわれずにアドバイスができます。また、外部で培った最先端の技術やトレンド、他社での成功事例を自社へ即座に導入することも可能です。
内部顧問の役割と特徴
内部顧問とは、自社の役員(社長や専務など)が退任後に就任する顧問を指します。日本企業の伝統的な慣習として長く定着している形態です。
組織図には表れにくい社内の慣習や複雑な人間関係を熟知しているため、円滑な経営に向けてアドバイスが可能です。今日に至るまでの経営の歴史も熟知しているため、次世代に正しく伝える役割も担えます。
また、中小企業に多い属人的な取引先などとの信頼関係を退任後も顧問として維持し、スムーズな事業承継をサポートすることも可能です。
【比較表】内部顧問 vs 外部顧問
以下の表は、各顧問の特徴をコスト、専門性、客観性の観点から整理したものです。
期待される成果組織の安定
円滑なバトンタッチ成長の加速
トラブルの未然防止
| 内部顧問 | 外部顧問 | |
|---|---|---|
| 顧問に就任する 傾向がある人 |
元社長など社内出身者 | 弁護士・税理士などの専門家 |
| 専門性 | 自社の歴史・業界慣習・社内事情に精通 | 特定のスキルに精通 (法務・DX・戦略等) |
| 客観性 | 主観的 (社内事情を優先しやすい) |
客観的 (第三者の視点で判断) |
| 主な役割 | 世代交代の支援 人脈の維持・調整 |
課題解決・リスク管理・新規事業推進 |
| 報酬 | 給与に準じた月額固定 | 契約範囲に応じた変動型 |
| デメリット | ワンマン色が強く世代交代しにくい | 社内文化への理解に時間がかかる |
内部顧問は事業承継を予定している場合や、社内の安定経営に向いています。その一方で外部顧問は自社にないノウハウが必要な時や、不採算部門の整理など社内の人間では断行しにくい変革を行う時に欠かせない存在です。
生成AIの進化などで経営の現場が目まぐるしく変化している今、外部顧問の存在に関心を持つ企業が増えています。
なぜ今、企業に「外部顧問」が必要なのか?
かつての日本企業では内部顧問を活用することが主流でした。しかし、技術革新の速さと市場の複雑化により、自社のリソースだけでは成長の限界、あるいはリスクの増大に直面しています。そこで、本章では外部顧問の必要性について、ポイント別に解説します。
事業の多角化とスピード感への対応
生成AIの目まぐるしい進化により、新しい市場への参入や事業の多角化への対応もスピードアップが求められます。古い常識が通用しない場面も多く、一から社内で人材を育成したり、手探りで調査を行ったりしていては、機会損失を招くおそれがあります。
外部顧問に招きたい分野の専門家を招くことで、事業の多角化やスピード感についていけるようになるというメリットがあります。
社内リソースだけでは解決できない「専門課題」の増加
企業が直面する課題は年々、高度に専門化しています。例えば、生成AIの活用、SDGsへの対応、サイバーセキュリティの強化などは、一般的なビジネススキルだけでは対応できないおそれがあります。最新の情報に精通した正社員を雇用しようとすると時間がかかることも多く、必要なタイミングで必要なプロフェッショナルを顧問として招く(アサイン)することが大切です。
また、不採算事業の整理や円滑な事業承継も、あえて外部顧問に相談することで社内の軋轢を抑える効果もあります。
DX、新規事業開発、海外進出など特定領域での即戦力性
変化の激しい以下の領域では、外部顧問の役割がさらに期待できます。
・DX(デジタルトランスフォーメーション)
専門家を招くことでツール導入だけが目的化するのを防ぎ、導入後の活用を促進できる
・新規事業開発
失敗のパターンを熟知した弁護士や税理士などを招くことで経営リスクを下げることが可能
・海外進出
現地の商習慣や法律、人脈をゼロから築くリスクを回避し、最短ルートでの現地展開を目指せる。
即戦力としてのアドバイスを求めている場合、専門性が高い外部顧問を招くことで上記のような特定領域にすぐに対応できます。
法務、税務、労務などのリスクマネジメント
守りの経営においても、外部顧問の存在は不可欠です。近年、コンプライアンス(法令遵守)への社会的な視線は極めて厳しくなっています。
契約書のリーガルチェックだけでなく、訴訟を未然に防ぐ予防法務や複雑な節税対策やインボイス制度等の税務面の法改正への対応なども欠かせなくなってきています。
また、ハラスメント対策や働き方改革に伴う労務管理の適正化も忘れずに対応する必要があります。こうしたリスクマネジメントは士業の専門分野です。外部顧問として招くことで安定経営をサポートしてもらえます。
弁護士との顧問契約については、以下関連記事もご一読ください。
関連記事:弁護士と顧問契約(顧問弁護士)をするタイミングやメリットについて弁護士が解説
外部顧問を活用する4つの具体的メリット
外部顧問の活用は、単なる「アドバイスを受ける」以上の効果をもたらします。そこで、本章では企業が外部顧問を導入することで得られる4つの具体的なメリットを詳しく解説します。
1.コストの最適化: 正社員採用よりもリスクが低く、必要な時だけ契約できる
顧問を招くことは正社員採用よりもリスクが低く、必要な時だけ契約できます。高度な専門スキルを持つ人材を正社員として雇用する場合、年収だけでなく社会保険料などの採用コストも見据える必要があります。
また、一度雇用すると簡単には解雇できない法的なリスクもともないます。
外部顧問であれば、各プロジェクト単位や月単位・年単位といった必要なボリュームに合わせた顧問契約が可能です。
2.客観的な視点: 社内のしがらみがないため、本質的な提言が得られる
外部顧問は社内のしがらみがない立場のため、本質的な提言がしやすいというメリットがあります。社内のしがらみでは、過去の経緯や上層部の顔色などを気にしてしまい、抜本的な改革案を出しにくい傾向があります。
第三者の立場である外部顧問なら忖度なしに、データと経験に基づいた提言が可能です。
3.ネットワークの活用: 顧問が持つ業界内の人脈や販路を利用できる
経験豊富な外部顧問は、1つの企業が時間をかけても構築できないような強力なネットワークを持っていることも少なくありません。
信頼できる業務提携先の選定を任せたり、資金調達に向けた金融機関や投資家との調整を依頼するケースもあります。
4.ナレッジシェア: 社員が顧問から直接指導を受けることで、社内人材が育つ
社員がノウハウを持つ外部顧問から直接指導を受けることで、社内人材が育つというメリットもあります。
外部顧問は実務経験が豊富であり、社員がアドバイスを受けながら仕事を共にすることで社内全体の視座を広げる効果もあります。
また、顧問との契約が終了した後も、得られた知見が社内の資産(ナレッジ)として残り続けるため、中長期的な組織強化につながります。
失敗しない顧問の選び方と契約のポイント
顧問を選ぶ際には「経歴の華やかさ」だけで選んでしまうと、期待外れに終わる可能性があります。そこで、本章では顧問選びを失敗させないためにも、選び方と契約時のポイントを解説します。
自社の課題(目的)を明確にする
まずは「自社の課題」を洗い出し、なぜ顧問を雇うのかを明確にしましょう。例として、「販路を広げたい」や「法務トラブルにアドバイスが欲しい」など、目的を掲げることが大切です。目的が曖昧だと、求めるニーズとミスマッチな顧問を選んでしまうおそれがあります。
関連記事:弁護士顧問契約を「有益な投資」に変えるために知っておくべき4つの視点
実務経験の有無と相性の確認
顧問を選ぶ際には肩書きだけでなく、「求める課題を解決したことがあるか」など、実務経験を重視しましょう。
また、経営者と価値観が合うか、自社の文化を尊重してくれるかといった「相性」も、円滑な連携には不可欠です。
契約形態(委任契約・業務委託契約)と報酬相場
顧問契約「委任契約(準委任契約含む)」または「業務委託契約」などの方法が選ばれています。
報酬は月額固定型や稼働時間に応じたタイムチャージ、成果報酬などがあり、契約時に決めることが一般的です。少し古い資料になりますが、弁護士の顧問料については日本弁護士連合会が提供しているアンケート結果で金額が目安を確認することができます。
企業規模や相談頻度に応じた相場を事前に把握しておきましょう。
「みんなの顧問」のようなマッチングサービスを利用する利点
顧問を探す方法としては、知人からの紹介や既存の人脈に頼るケースが多く見られますが、専門性や相性の面で選択肢が限られるという課題もあります。
そこで、「みんなの顧問」のようなマッチングサービスを利用すれば、必要な分野に応じて効率的に専門家を探すことが可能です。
専門分野別に顧問を探せる「みんなの顧問」
「みんなの顧問」では、法人や個人、飲食店など、様々なニーズ別に顧問候補が整理されています。自社が抱える課題に応じて専門分野から絞り込めるため、「何を相談したいのか」目的を設定しておくと、すぐに顧問に適している専門家を選べるメリットがあります。
また、経歴や対応可能な業務内容、報酬の目安が事前に可視化されているため、従来の紹介型に比べて比較検討しやすい点もメリットでしょう。
まとめ
顧問は、単に肩書きを置く存在ではなく、経営課題に対して実践的な助言を行うパートナーです。「みんなの顧問」のようなマッチングサービスを活用すれば、専門分野・報酬を踏まえたうえで、自社に合った顧問を選びやすくなります。人脈に依存しない顧問選びを始めませんか。

