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契約書、ソコが聞きたい!第3回 個人に関わる契約書の種類と重要ポイント

 

個人が日常生活を送る上でもさまざまな「契約書」が関わります。
ただ個人の場合、どうしても契約書を作らないままやり取りしてしまうケースも多くなりがちですし、個人対事業者の契約では一方的な内容にされてしまうケースもよくあります。

今回は、個人が関わる契約書にはどのような種類があり、どういったことが重要ポイントとなってくるのか、ご説明します。

1.個人が関わる契約書の種類

個人が関わる契約書には、個人同士の契約の場合と事業者相手の契約の場合があります。
それぞれどういったものがあるのか、みてみましょう。

2.個人同士で作成する契約書

個人同士で作成する契約書とは、個人間の取引内容を明らかにするための契約書です。
以下のようなものがあります。

2-1.金銭消費貸借契約書

金銭消費貸借契約書は、個人間でももっとも作成する機会の多いもので、いわゆる「借金」したときの契約書です。お金を貸し付けた日付、金額、返済条件などを記載します。
保証人(連帯保証人)をつける場合には保証に関する条項もつけて、保証人になる人にも署名押印してもらう必要があります。
親族や恋人同士など親しい個人の間でお金を貸したとき、契約書を作成しないことも多々あります。しかしそういったときにこそきちんと契約書を作成しておかないと、後にトラブルになる可能性が高くなります。
また金銭消費貸借契約書がないと、お金を貸した事実を証明できないので返してもらえなくなるリスクが発生します。
お金を貸したら、たとえ相手が親しい人であっても必ず契約書を作成しましょう。

2-2.不動産賃貸借契約書

個人間で不動産の賃貸借契約を締結するケースもあります。たとえば親戚の子どもや友人に、手持ち物件を使わせてあげる場合などです。このような場合、契約書を作成しないで貸してしまうこともありますが、トラブルを避けるために必ず契約書を作成しましょう。

賃貸借契約書には、対象物件を正確に記載する必要があります。また毎月の賃料の金額や敷金、賃貸人と賃借人それぞれの義務の範囲や解約条件、期間や更新方法など重要事項を記載します。

2-3.不動産などの売買契約書

個人間でも、物の売買をすることはあります。たとえば不動産会社を介さずに取引する場合には、自分達で不動産の売買契約書を作成しなければなりません。
不動産売買契約書は、売主から買主への所有権移転登記をするためにも必要なので、慎重に作成する必要があります。
物件の表示については全部事項証明書を見ながら正確に引き写し、手付金や途中解約、損害賠償や瑕疵担保責任など、いろいろな事項を定めておく必要があります。

個人間取引の場合、売買契約書を作成しなかったり不動産の登記をせずに放置してしまったりするケースがありますが、そのようなことをすると後にトラブルになりやすいので、必ず契約書を作成して所有権移転登記を済ませましょう。

2-4.抵当権設定契約書

個人間で金銭の貸し借りをするとき、不動産に抵当権を設定するケースがあります。その場合には、抵当権設定契約書を作成しなければなりません。
この契約書がないと抵当権設定登記ができず、第三者に抵当権の主張をできなくなってしまいます。

2-5.贈与契約書

個人間で贈与を行う際には、必ず贈与契約書を作成しましょう。
特に問題となるのは、相続税対策のための生前贈与のケースです。
たとえば親子間で預貯金などの贈与をするとき、いちいち贈与契約書を作成しない事例も多々あります。しかし契約書がないと、後に税務署による立入調査が入ったときに贈与であることを主張できず、預貯金を遺産に含められて高額な贈与税が課される可能性も発生します。また不動産を贈与したときには、贈与契約書がないと所有権の移転登記ができません。
物やお金の贈与を行ったら、親子や親しい親族であっても必ず贈与契約書を作成しましょう。

3.事業者が相手の契約書

個人と事業者との契約書には、以下のようなものがあります。

3-1.不動産賃貸借契約書

不動産を借りて住む場合には、不動産会社との間で不動産賃貸借契約書を作成することが多いです。この場合には、不動産会社が契約書の文案を持ってくるので、申し込む個人は署名押印するだけで足ります。ただ、契約内容をきっちり吟味して理解しておかないと、後に大きな不利益を受ける可能性があります。
敷金や途中解約、損害賠償や設備に含まれるものの範囲など、署名押印前に確認しておきましょう。

3-2.売買契約書

業者を通じて不動産や車などの商品を購入するとき、売買契約書を作成するケースが多数あります。特に分割払いで購入する場合などには、契約条件に注意が必要です。
商品の引き渡し時期、所有権の移転時期、代金額や支払い方法、分割払いの手数料や利息など、チェックしましょう。
また、クーリングオフが適用される場合には契約書にそのことも書いてあるのが通常ですので、期間などを確認しておく必要があります。

3-3.サービスの利用契約書

スポーツジムなどの継続的なサービスを利用する場合には、利用条件を定める契約書を締結します。この場合にも、事業者から渡されたものに署名押印するだけで完成するケースが多数です。
料金額や支払い方法、契約期間や解約の方法、利用方法に関する定めなど、確認しておきましょう。

3-4.金銭消費貸借契約書

貸金業者からお金を借りるとき、金銭諸費貸借契約書を作成することがあります。その場合、必ず借入金額や返済方法、返済期間や適用利率、遅延損害金や期限の利益の喪失条件、保証会社の有無などについて確認しておきましょう。

個人間の契約でも必ず契約書を作成しておくべきですし、事業者が相手の場合には不利にならないようにしっかり契約書の内容をチェックする必要があります。 自分一人では対応が不十分になりそうな場合、弁護士に相談してみるのが良いでしょう。

 

解説者プロフィール

元弁護士 ライター 福谷陽子

京都大学法学部 在学中に司法試験に合格
勤務弁護士を経て独立、法律事務所を経営する
約10年の弁護士キャリアの後にライターに転身
現在は法律ジャンルを中心に、さまざまなメディアやサイトで積極的に執筆業を行っている

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