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【人財育成・組織改革コンサルタント 沖本るり子様インタビュー】

人財育成・組織改革コンサルタント 沖本るり子さんインタビュー 聞き手:みんなの顧問編集部・茂田

「会議」を通じて社内コミュニケーションの改善に貢献する顧問

「企業は人なり」というものの、組織マネジメントの柱である人財育成に苦労する企業は多い。そこで『5分会議』という研修手法による人財育成を手がける沖本るり子さんに、会議と人財育成、企業研修について伺った。

沖本るり子 Ruriko Okimoto

人財育成家

株式会社CHEERFUL代表取締役

プロフィール

広島生まれ。江崎グリコ株式会社での経理・人事労務・セールスプロモーション、株式会社SRAでのシステム開発、管財商社での業務改革担当などの役員を経て、横河レンタ・リースで社内研修講師等を経て独立。2007年に株式会社CHEERFULを設立し、人財育成・組織改革コンサルタントとして「会議」を活用した人財育成、人財教育を中心に活動中。資格にPHP研究所認定ビジネスコーチ、EQJ公認EQプロファイラー、EQトレーナー、HRD社公認DiSCインストラクター、CF公認カンファリストトレーナーなど。『相手が“期待以上"に動いてくれる! リーダーのコミュニケーションの教科書』(同文館出版)、『リーダーは話を1分以内にまとめなさい』(中経出版)、『出るのが楽しくなる! 会議の鉄則』(マガジンハウス)などの著書、雑誌連載記事など多数。

「会議」を通じて離職率や鬱の社員が激減

「会議を効率的、効果的に行うべきなのは当たり前です。そこに『人を育てる』『組織を育てる』といったプラスの要素もなければ、会議の時間がもったいないです」と、人財育成家の沖本るり子さんは語る。
沖本さんは企業の人財育成と組織改革の支援を行っているが、研修を実施したある企業では、10パーセント台だった離職率が3年には1パーセント台にまで下がった。また、あるクレーム対応部門では鬱になる社員が多くいたが、そうした社員も激減したという。

それらの結果を生み出す会議の秘密は何だろうか?

会議を通して人と組織を育てる

沖本さんは、『5分会議』という会議形式の研修を提唱している。これは1つの大きな会議を分割して、5分間の短い会議を多数行い、それぞれの会議のテーマごとに参加者全員に意見を出させるというもの。
現場で活かせる形で学ばなければ、どんな研修も身につかないため、どの会社でも行われている会議を使って研修するという独自の方法である。

たとえば、「アイデアを出すだけ」の5分会議。その会議では参加者全員がそれぞれにアイデアを述べ、反論は誰もできない。なぜなら、あとで反論意見を全員で出す会議を行うからだ。こうすると、あらゆる参加者が対立せずに意見を出せるようになる。

「企業研修にはコミュニケーション研修、リーダー研修、アサーション研修、ファシリテーション研修などがあります。これらすべての要素を、会議を通して受講してもらいます。1つずつの研修を行うよりも、会議という形でやるほうが身につきます」

日常業務で時間の意識が反映される

「5分間会議は、あくまで道具なんです」という沖本さん。
5分会議に慣れると、5分間が以前よりも長く感じてくる。「時間がいかに大事かということに気がつくからです」。5分会議の研修を重ねると各人の思考力が高まり、普段の業務でも時間を意識するようになるという。
5分会議に10人が参加すれば、1人の持ち時間はわずか30秒。参加者は短い言葉で意見を述べなければならない。その結果、「だらだら話をしない」「結論を述べる」といった行動変容を生み出すことになる。

一般的に議事録は若手がとることが多い。しかし5分会議では、全員の持ち回り制で議事録をつくる。そうすると、議事録の作成に無縁だった管理職でも「話が長いと、発言のすべてを書き取れない」という我が身の行いに気づくのだ。

会議で鬱の社員を減らす

多くの会議では、上司と部下という立場や発言の責任を恐れるなど、会議で反対意見を言えない人も多く、発言者がアンバランスになる。そこで、沖本さんの研修では「反対意見を述べる5分会議」を設ける。こうすれば、全員が遠慮なく反対意見を述べられる一方で、自分のアイデアが否定されても嫌な気持ちにならなくなる。つまり、誰もが安心して参加できる会議になる。

売上が落ちると営業会議で犯人探しを行う場面も珍しくない。本来は問題の打開策を探る前向きな会議をするべきだが、「吊し上げのようになってしまうと、その場にいる全員がネガティブな気分のまま、何の成果もなく終わってしまうのです」 しかし、会議はネガティブな状況をつくるのではなく、状況をより良くするための手段、という沖本さんの考えから生まれた研修は、思わぬところで成果を見せた。

企業にとってネガティブな課題といえばクレーム対策。ある企業では、各担当者が顧客からのクレームに個別に対応して会議で報告していた。そこでクレームについて会議で情報共有して全員で対応策を考える形にしたところ、クレーム報告会議への参加者の苦痛がなくなり、「鬱になる社員がいなくなった」という報告があったそうだ。

コミュニケーションの大切さに気づくまで

沖本さん自身の経験で「休み明けに会社に行ったら倒産していた」という話がある。広島県の大きな管財会社の取締役だった沖本さんだったが、組織改革を進めるために経営にかかわるなかで、「部下との行き違い」「他部門との衝突」や争いばかりのムダな会議でストレスが続き、それが影響してかひどい腰椎椎間板ヘルニアにもなった。そして会社は倒産。
県内の業界上位の会社であり、売り上げ自体が急激に悪化した訳ではなかった。しかし、「人の問題に多くの時間をムダに費やしていました。他部署とのもめ事もしょっちゅう」。内部崩壊が招いた結果だった。
沖本さんが「もっとはやくコミュケーションの大切さに気がつき、部下とのコミュニケーションを意識して部下を巻き込めていたら」という思いに至ったのは、沖本さんがコミュニケーションや会議を研究し始めてからのことだった。

つぶれない会社づくり、社員が楽しく働ける職場づくりを

沖本さん自身の経験もあって「つぶれない会社づくりに必要なのは、何よりもまずは円滑な会議」と確信し現在の活動につながってきた。
「部下を怒るのがビジネスだと思っている人は多いと思います。しかし、つぶれない会社づくりに必要なのは、何よりもまず円滑なコミュニケーションです」。話し手は、聞き手が内容をつかみやすい話し方や、聞き手が行動に移しやすい伝え方を習得する必要がある。
「コミュニケーションこそが対決や対立ムードをなくし、みんなが楽しく働ける職場をつくります。1つの会社が分裂すれば離職率が高くなります。人が根づかない会社ではいけません」

「うちの業界では会議が長いのはしかたがない」というのは、大間違いだそうだ。 「そういう業界や会社ほど、研修の効果は大きくなりますね。会議の質で、会社は変わります。会議がいい加減だと、潜在能力があっても組織や社員の成長が止まっている。これはたいへん残念です」

企業研修のゴール

沖本さんの研修は、経営者から新人まですべての社員を対象にしている。しかし役職のある人ほど研修には難色を示す。
「『研修など受けなくても自分はできている。ダメなのは部下だ』と思っているのです」

しかし、沖本さんが本当に研修を受けてほしいのは、管理職である。上司が正しい会議を知っていれば、部下はそれを見て学ぶものだからだ。
研修を受けさせる側の経営者や人事担当者でも「社員の気づきが精一杯だ」と考える人は少なくない。しかし沖本さんにとって企業研修のゴールは、企業や社員に自律できるように成長してもらうこと、つまり行動変容という結果である。

沖本さんは研修をするとき、その企業に研修の目標を尋ねる。しかし、ほとんどの会社がこれに答えられない。「研修は投資です。スポットではなくトータルで考え、ゴールを明確にしてほしい。でないと、せっかくの予算と時間が無駄になってしまいます」

沖本さんを頼る顧客の中には、「こういう風に会社を変えてほしい」と積極的に助けを求める企業もある。
沖本さんの願いは、そのような会社がいずれ沖本さんの手を離れ独り立ちすることだ。そうなるまでには「2年半から3年の時間が必要です」。
一般に顧問は10年、20年と長期に渡って企業に寄り添うことも多いが、沖本さんのスタンスは少し異なり、中長期の顧問活動となる。人や企業が成長するまでの集中的な研修やケアは必要なものの、それぞれの自律につながれなければ成果が出たことにならない、という沖本さん。執筆活動などで多忙な日々を送っていたが、今後は本業の研修活動へ注力していきたいそうである。

株式会社CHEERFUL(http://www.e-cheerful.co.jp/)
お問い合わせ 03-6811-6095
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