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【税理士 原尚美様インタビュー】 顧問先の9割が黒字の会計事務所

税理士原尚美様インタビュー 聞き手:みんなの顧問編集部(茂田)

顧客と一緒に成長したい

多くの企業が会計事務所に求めるのは、決算を含む会計処理や節税対策などの相談。しかし、「単なる節税だけではなく、より前向きな経営をすべき」というのは税理士の原尚美さん。顧問先の実に9割が黒字という原&アカウンティング・パートナーズ代表の原さんの想いを伺った。

原尚美 Naomi Hara

税理士

原&アカウンティング・パートナーズ(原会計事務所)代表

プロフィール

東京外国語大学英米語学科卒業。7人家族の専業主婦から税理士を目指す。1987年、東京都大田区蒲田に事務所を設立。2013年に、ミャンマーの都市・ヤンゴンに現地法人を設立。
著書に「51の質問に答えるだけですぐできる『事業計画書』のつくり方」(日本実業出版社)、「世界一ラクにできる確定申告」(技術評論社)、「会社のつくり方がよくわかる本」、「小さな起業のファイナンス」(ソーテック社)、「トコトンわかる株式会社のつくり方」(新星出版社)、「一生食っていくための士業の営業術」(中経出版)など多数。

「社長の都合のイイオンナ」の言葉の裏にある強い想い

原さんが代表取締役を務める「原&アカウンティング・パートナーズ(原会計事務所)」は、現在、国内に26人、ミャンマーに2人の日本人の所員がいる。その全員が女性だ。
「仕事が丁寧だというのが、女性を採用する1つめの理由です。女性ならではの細やかな対応で、社長にもやる気を出してもらえることが多いのです」
同事務所のキャッチフレーズに、「社長の都合のイイオンナ」というものがある。これは、「経営者にとって一番都合のよい方法を考える」ということだ。

昔、借金苦で経営者が自ら命を断った後の会社の整理を頼まれた原さんは、「救える命だった。死ぬことはなかった。なのに、それを伝えてあげられる人が社長の周りにはいなかったのだろう」と語る。
この一件は、原さんにとって大きな転機となる。税理士は、社長の心の友でなくてはならない。「社長のためにどこまでも親身になって動かなければならない」と、決心した。

女性が働く環境をつくる

原さんが女性を雇う2つめの理由は、「働く意欲はあるのに、働く場を得られない女性に手を差し伸べたかった」ことだ。
原さん自身が、子育てをしながらこの仕事を始めるにあたり、たいへんな苦労をした。その当時から比べると、「時代が変わり、結婚後も女性が働きやすくなったのも事実」と、原さんは言う。昔は、共働きでもご主人が台所に立つことはなかった。ところが今では、男性の意識が変化した。
「社員の話を聞いてみると、家に帰ると、旦那様が料理を作って待ってくれるのですね」
子供を生んで家庭に入る女性は減った。しかし子供の健康問題、親の介護、配偶者の転勤などとなると、退職する女性は今も多い。そういった環境を自ら変えていくのも、とても大切なことだ。

手のかかるお客様ほど、愛おしい

原さんは、顧客の事業計画を重視している。事業計画がないと、経営者も1年間の戦略イメージがわかないし、金融機関からの融資も受けられない。そのような経営者と原さんとのやりとりの積み重ねもあって、原さんが顧問をする9割の企業は黒字経営である。
しかし、残り1割の経営者にはどういう問題点があるのだろうか?
「(商売に関するごく基本的な)センスがない。売り上げのイメージがわかない。お金の計算ができないなど、いろいろな理由があります」
また、原さんがアドバイスをしても、「いくら売り上げがあるかだなんて、やってみないとわからないから」と、聞く耳を持たない経営者もいる。

原さんの事務所が30名弱の大所帯にまでなったのは、古くから付き合いのある企業が成長したためでもある。「私たちのお客様は、パートナーでもあります。パートナーが元気でいてくれると、私たちも元気でいられるのです」
だから原さんには、「会計事務所は、お客様といっしょにゼロから成長するもの」という考えがある。「税金について何もわからない、そんな手のかかるお客様ほど愛おしく、一緒に仕事をしていて楽しい」と語る。

ミャンマーへの進出

原さんは2013年12月に、ミャンマーの都市・ヤンゴンに会計事務所を設立した。
2016年12月現在、2人の日本人スタッフがヤンゴンに駐在し、8人のミャンマー人スタッフが勤務している。原さんも毎月、ヤンゴンの事務所を訪れている。
原さんは「自分のビジネスのカンに従って、動いた」と、設立当時を振り返る。その頃に、すでに中小企業がアジアに出るという流れがあったが、原さんは何もできないでいた。
「中小企業をサポートするというのが、私のミッションです。しかし、海外進出に関しては、何の手助けもできないことにやるせない思いがありました」
原さんの気持ちを一層強くしたのが、2011年の東日本大震災だった。
外国人の中小企業の顧客が、いっせいに日本から引き揚げた。原さんは、「ならばこちらが海外に出て行くしかない」と強く考えるようになった。

シンガポール、タイ、台湾などのすでにビジネスインフラが整っている国ではゼロから始められることはほとんど何もない。しかし、未開拓地であるミャンマーは魅力的だった。
ところが現地に入ってわかったのが、現地では税金を払う感覚すらない人が多いということ。帳簿すらつける習慣がないので、「海外に出るなら、マレーシアやベトナムにしておきなさい。それでもどうしてもミャンマーだと言うのなら、日本の大企業をパートナーにして、一緒にやりなさい」というような忠告は海外進出企業の経営者からもされた。

ゼロから始めるということ

「私はこの税理士という仕事を、『金なし、客なし、コネなし、時間なし』で始めました。しかし、今は多少の時間や資金はある。『客なし、コネなし』に変わりはないけれど、ミャンマー進出をきっと楽しめるに違いない。昔は、楽しむどころではありませんでした。ただ必死だった。でも今は、その余裕があります」
ミャンマーは、経済の成長過程の初期にいる。かつて日本人のたどった道を歩いている最中なのだ。「いずれミャンマー人たちは帳簿をつけなければいけなくなる」と、原さんは確信している。そしてその確信が現実に近づいている手応えを感じている。

イギリスの統治時代を経験したミャンマーでは英語の普及率が高く、日本人が起業しやすい。原さんのヤンゴンの事務所でも、英語を使っている。ミャンマーはまだ人件費も安く、日本の名だたる企業の多くが進出している。
だが、「アジアの国を下に見て、『メイドインジャパンなら必ず儲かる』というような安易な気持ちで進出すると、必ず失敗します」と原さん。「ビジネスチャンスは多いけれど、外資規制も厳しい。海外の水はそんなに甘くはありません」
ミャンマーでは、日本にいるとき以上に原さんが頼られる。野心溢れる日本からのビジネスマンたちとゼロから始められるということを、原さんは今、心から楽しんでいる。

最大のご褒美

原さんがこの仕事を始める以前は、7人家族の専業主婦だった。組織の中で長く働いた経験がなかった。このことを原さんは、「会計事務所はこうあるべきという既成概念がなかった。それがかえって良かったのです」と語る。
「本来の仕事だけでなく、お客様の望むことを何でもしました。これが私の強みだったのです。近年、士業は生き残りが難しい時代となり、専門以外のこともやらなければならない流れです。これまでの私のやり方は間違っていなかったのだと考えています」
原さんは顧客の相談に応えるべく、税法以外の基礎的な知識を貪欲に仕入れた。特に会社法と労働法には精通するようになった。
「設立登記の段階で、会社の将来像に合わせて、資本金や役員の構成を決めるのが大切です。また社長の最大の悩みはブラック企業ならぬブラック社員。最初の対処法を間違えると、とんでもないことになる。問題が起きたとき、最初に相談されることが多いので、会社が不利にならないように的確なアドバイスを心がけています」
必要ならその後に、弁護士や社会保険労務士の事務所へ同行することも。また、経営者の離婚の相談に乗ったり、DV被害を疑われる女性経営者を連れて、警察に駆け込んだり(!)したこともある。

そんな原さんにとっての最大のご褒美は、いつか「先生のおかげで会社が大きくなった」と言われること。「本当はそんなことはない。成功するのは、社長のビジネスセンスや努力があるからですけれども」と、笑顔を見せた。

原&アカウンティング・パートナーズ(原会計事務所)(http://hara-tax-accounting.com/)
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