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「相続手続きで専門家に払う報酬の相場とは?専門家の業務・費用の違いや報酬自由化の背景を解説」

「相続手続きで専門家に払う報酬の相場とは?専門家の業務・費用の違いや報酬自由化の背景を解説」

相続にはさまざまな手続きが必要となるため、相続人だけでは進めにくいことがあります。弁護士・司法書士・税理士等の専門家へ報酬を支払い、手続きを進めてもらうケースは決して少なくありません。では、実際に専門家へ支払う報酬の相場はいくらなのでしょうか。この記事では法律の専門家における業務と費用の違いや、報酬が「自由化」された背景についてもあわせてご紹介します。

相続手続きは法律の専門家に依頼するべき?

相続手続きとは、被相続人(亡くなられたご家族)が遺した財産について、相続人間で分割したり、財産の承継手続きを進めることを意味します。たとえば、被相続人の預貯金口座の解約や、不動産を相続したら相続登記を行うことなどが挙げられます。

では、相続手続きをする必要に直面したら、法律の専門家に依頼するべきでしょうか。次にあげる3つのポイントに直面したら、依頼を検討してみましょう。

遺産分割協議が進まない

  • 相続人の1人が行方不明になっている
  • 相続人同士で遺産分割を巡って対立している
  • 相続税を抑えながら遺産分割したいがどうすればよいか

このように、相続人の財産を相続人が引き継ぐために欠かせない「遺産分割協議」が上手く進まない時には、弁護士や税理士への相談がおすすめです。遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。手続きが遅れてしまうと、相続税の申告期限や相続登記の遅延につながる可能性もあるため、早期に解決するためにも法律の専門家を頼ってみましょう。

複雑な手続きをまかせたい

  • 遺産分割協議書を作成してほしい
  • 相続登記を依頼したい
  • 相続税申告全般を安全に手続きしてほしい

相続手続きには、専門性の高い書類の作成が少なくありません。例として、遺産分割協議書や相続登記申請、相続税申告等が挙げられます。また、相続人を特定するために戸籍の調査を要することもあります。

こうした書類の作成・調査などは多くの法律の専門家に依頼すると代行してくれるため、悩んだら相談してみることがおすすめです。

その他

  • 生前から相続対策を専門家と進めたい
  • 遺留分を相続人に請求したい
  • 相続放棄をサポートしてほしい 
  • 遺言書を作ってほしい  など

相続は生前から対策も可能です。相続税、相続人の紛争防止、事業継承などさまざまなご要望に応じて法律の専門家がサポートしています。また、法律の知識が欠かせない遺留分の請求や、相続放棄についても依頼できます。

相続手続きを依頼するといくらかかる?報酬の相場とは

相続手続きを実際に法律の専門家へ依頼すると、報酬はいくら程度かかるのでしょうか。以前は多くの士業には「報酬基準」が設けられていましたが、現在は撤廃されています。この章では報酬の相場について、専門家ごとにご説明いたします。

なお、本章でご説明する報酬の相場はライターが2024年11月現在で無作為に選んだ士業事務所10社の相場から平均値を計算したものです。各事務所によって報酬設定や実務の範囲は大きく異なるため、あくまでも目安としてご一読ください。

弁護士の報酬相場

弁護士は主に遺産分割にまつわるトラブルを受ける機会が多いですが、近年では生前の遺言書作成なども積極的に扱う傾向が高まっています。
弁護士への報酬の相場は着手金20~30万とは別に、経済的利益に合わせて変動します。たとえば、弁護士に依頼した結果得られた遺産が多ければ多いほど、報酬も大きくなることが一般的です。

弁護士の場合は現在廃止されている「旧報酬基準」を使っている弁護士は今も多く、一般的に以下にて計算します。なお、複雑な調査や調停、訴訟を要するケースは別途費用が加算されることが多いでしょう。

経済的利益の金額弁護士への報酬 (税別)
300万以下16%
300万~3,000万以下10%+16万
3,000万~3億以下6%+138万
3億超4%+738万

司法書士

司法書士は相続登記を専門家として扱うほか、遺産分割協議書の作成や相続人調査なども扱っています。司法書士の費用相場は以下です。

  • 相続登記 4~6万円から
  • 相続人調査 3~4万から
  • 相続登記や預貯金解約などのサポート 10~15万円から

この他、遺産分割調停申立書の作成や遺言書の検認申立書の作成などを行っている場合は5~10万程度が報酬の目安です。

税理士

相続税申告・納付にまつわる全般を扱う税理士への報酬は、遺産総額に応じて計算することが多くなっています。遺産総額の0.5%~1.0%が目安となっています。

書面添付(相続税申告で税理士の保証を付けるしくみ)をオプション制度としている税理士の場合は別途費用が加算されます。また、不動産の鑑定を要する場合も同様です。

行政書士

相続人調査や遺産分割協議書の作成などは行政書士へ依頼も可能です。主な報酬の相場は以下です。

  • 遺産分割協議の作成 4~5万から
  • 相続人調査 5~6万から
  • 車の名義変更、預貯金解約などの代行 4~5万から

費用の報酬はなぜ自由化された?

以前は弁護士・司法書士・税理士・行政書士のいずれにも「報酬基準」が設けられていました。現在は報酬自由化を受け撤廃されていますが、なぜ自由化が行われたのでしょうか。そこで、この章では報酬自由化のタイミングとその理由を紹介します。

報酬が自由化されたタイミングとは

士業における報酬の自由化は、以下のタイミングで実施されました。どの士業も類似した時期に自由化したことがわかります。

  • 弁護士 平成16年4月1日以降
  • 司法書士 平成15年4月以降
  • 税理士 平成14年4月1日以降
  • 行政書士 平成14年4月1日以降

ただし、多くの士業は1つの目安として現在も自由化前の旧報酬を活用しています。

なぜ報酬は自由化された?

相続に多く関係している4つの士業の他に、社会保険労務士などの他士業についても上記とほぼ同じタイミングで報酬が自由化されました。その理由には「独占禁止法」という法律が挙げられます。

公正取引委員会は事業者(各士業)が供給する商品又は役務の価格は、事業者の競争手段として最も重要なものであり、商品や役務の価格を制限することは、独占禁止法上問題となると指摘したのです。

そのため、各事業者団体(弁護士会や司法書士会など)は指摘後に報酬の自由化を行いました。なお、各士業の事業内容については、下記関連記事もあわせてお読みください。

参考URL 公正取引委員会 資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方

関連記事:士業(8士業・10士業)とは? 各士業の業務内容やホームページの事例(実例集)を紹介

依頼時に感じる報酬の不安はどう解消する?

法律の専門家は難関の資格試験をパスし、独占業務を持っています。難解な手続きを依頼する時は、高額の報酬を請求される可能性も否定できません。しかし、内容によっては高額の費用が適切なケースもあります。相場よりも報酬が高くても、執務時間を多く要する分やむを得ないケースも多いのです。

では、依頼時に感じる報酬への不安は、どう解消すればよいでしょうか。報酬が気になる場合には、以下2つのポイントを押さえておきましょう。

1.見積もりを複数取得する

各士業によって、報酬が異なるため、まずは気になる事務所のHPの費用情報を確認したり、見積もりの取得を依頼することがおすすめです。多くの士業は「初回無料相談」を行っており、ヒアリングした内容に応じて快く費用の概算を提示してくれます。複数の見積もりがあると、依頼内容に発生する費用の相場が掴めます。

2.低価格だけで依頼を決めない

安い士業もいれば、非常に高額の費用が発生する士業もいます。相続時の相談内容によっては、長きにわたって依頼した士業とお付き合いすることも少なくありません。

依頼費用が低価格かどうかだけではなく相性が良いと感じる方を選ぶことも大切です。たとえば、以下のポイントを相談時にチェックしてみてください。

  • 不安や悩みをしっかりと聞いてくれるか
  • 報酬だけではなく、明朗に解決への道筋を説明してくれるか
  • 手続きの一部を外注している場合、外注費用についても説明が明朗か

相続手続きはワンストップで行うことを謳う士業は多いですが、手続きの一部を外注する場合にその費用はいくらになるのか、早い段階から説明してくれることも大切です。

まとめ

この記事では、法律の専門家への相続時の報酬について、旧報酬基準の撤廃にも触れながら詳しく解説を行いました。現在自由報酬となっている各士業ですが、現在も1つの基準として旧報酬を目安としている場合もあります。費用に不安がある場合は、見積もりを取得したり、相談時の相性なども確認した上で、ご依頼先を決めることがおすすめです。

この記事を書いた人:法律ライター 岩田いく実

損害保険会社勤務後、法テラスや一般民事系法律事務所でのパラリーガル経験を経て、法律ライターとして独立。交通事故被害者の家族として携わった高額訴訟の経験も生かし、年間60人を超える弁護士への取材も行い、書籍への執筆も行っている。
相続・交通事故や債務整理分野などを中心に記事制作活動を展開中。

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