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その他の一般的な相続準備~遺言書作成、財産の整理、相続税対策~

 

このシリーズではさまざまな相続対策方法について解説してきましたが、他にもやっておくと良い相続準備がいくつかあります。

以下では重要な相続準備方法のポイントをご紹介していきます。

 

財産の整理

将来の相続トラブルを防止するには、必ず「財産の整理」をしておきましょう。
どこにどのような財産があるのかを調査し、明細を作成します。

財産が整理されていないと、以下のようなトラブルが発生する可能性が高くなります。

遺産隠しが疑われてトラブルになる

どのような遺産があるのかが明らかにならないと、相続が発生したときに相続人たちが互いに疑心暗鬼になってもめる元になります。
たとえば子ども達が相続人になる場合、親と別居していた兄弟が「同居していた兄が預貯金を隠し持っているのではないか?」「勝手に財産を使っていたのではないか?」などと疑うケースがよくあります。長男は否定するので遺産内容を確定できず、遺産分割協議すら開始できなくなってしまいます。
最悪の場合兄弟から長男への「損害賠償請求訴訟」などの裁判トラブルになってしまう可能性もあります。

相続人による相続財産調査が難航する

遺産内容が明らかになっていないと、相続財産調査の手続きが大変になります。
相続人たちが一から「どこの金融機関に預貯金があるのか」「どこの証券会社にどんな株式を預けているのか」「どんな不動産があるのか」など全部調べないといけないので大変です。
相続財産調査が済むまで遺産分割協議も開始できないので、相続手続きがどんどん遅れていきます。

相続税の申告漏れが発生する

相続税が発生するケースでは、相続人が相続財産をきちんと漏れなく調べて申告・納税しなければなりません。しかし遺産内容が整理されていないと、きちんと調べたつもりでも漏れが発生する可能性が高まります。
申告漏れが発生すると税務調査が入り、追徴課税されたり延滞税を課されたりするリスクがあります。無駄な税金をとられないためにも、きちんと生前に財産を整理しておきましょう。

財産目録を作成して相続人に知らせておく

財産を整理するときには、現金、預貯金、株式、不動産などの項目ごとに財産の内訳を明らかにし、それぞれの評価額も概算でかまわないので調べましょう。
預貯金はどこの銀行のどの支店に口座があるのか、株式はどこの証券会社にどの(株)を預けているか、不動産についてはどこのどのような物件があるのかなどをまとめて「財産目録」という一覧表にしましょう。
いったん目録を作成した後に財産内容に変動が発生したら書き直す必要があるので、簡単に編集できるパソコンのエクセルなどを使うと便利です。

また財産目録を作ったら、相続人に知らせましょう。せっかく整理しても相続人に発見されなかったら意味がないからです。

将来の相続税対策や相続トラブル対策のため、きっちり財産の整理をしておきましょう。

遺言書作成

将来の遺産相続トラブルを避けるための有効な手段として「遺言書」があります。
遺言書を作成すると、以下のようなメリットがあります。

遺産相続トラブルが発生しにくくなる

遺言書がない場合、相続人たちは自分たちで「遺産分割協議」を行って遺産相続方法を決定しなければなりません。そのときに意見が合わずトラブルとなるケースが非常に多いです。あらかじめ遺言書で遺産相続方法を指定しておけば、遺産分割協議のトラブルが発生する可能性はなくなり、リスクを大きく軽減できます。

希望する人に財産を残せる

遺言書がない場合、基本的に法律が定めた通りに相続が行われます。具体的には「法定相続人」が「法定相続分」に応じて遺産を取得します。特定の人に特に多くの財産を残したり特定の財産を指定して引き継がせたりすることはできません。
遺言書を作成したら、ご本人の希望する人に希望する財産を残せます。たとえば長男に自宅不動産を残したり配偶者に多めの財産を残したりできます。

相続権のない人に財産を残せる

遺言書がない場合、法定相続人以外の人に財産を残すことはできません。たとえば内縁の妻や相続権のない孫、お世話になった人などには財産を継がせられません。遺言書があれば相続人でない人にも財産を残せるので、ご本人の希望に沿った遺産相続を実現できます。

子どもの認知や生命保険受取人変更なども可能

遺言書によって子どもの認知や生命保険の受取人変更、法人や団体への寄付、相続人の廃除やその取消などさまざまなことができます。

遺言書作成方法

遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3つの方式があり、それぞれ作成方法が異なります。よく利用されるのは「自筆証書遺言」または「公正証書遺言」です。

自筆証書遺言は全文自筆で書いて自分で保管する遺言書です。ただし遺産目録の部分についてはパソコン等で作成可能です。また将来的には法務局に預けられる制度が作られます。

公正証書遺言は公証人に作成してもらう遺言書です。無効になりにくく原本が公証役場で保管されるので紛失や書き加え、破棄隠匿などの危険もありません。

相続トラブル防止効果は公正証書遺言の方が高いので、できれば公正証書遺言を作成しておきましょう。お近くの公証役場に申込みをすれば、公正証書遺言を作成してもらえます。

http://www.koshonin.gr.jp/list

相続税対策

相続準備としては相続税対策も忘れてはなりません。生前贈与以外に、以下のような税金対策方法があります。

生命保険を活用する

生命保険金には相続税が課税されますが、大きな控除が認められます。具体的には「法定相続人×500万円」分までが控除対象です。
現金や預貯金でお金を持っていると全額に対して相続税が課税されますが、生命保険金に代えると控除が適用されるので税額が下がります。
多額の預貯金があるなら終身保険などの生命保険に加入して相続人を受取人に設定しましょう。

不動産を購入する

手持ちの現金や預貯金などの流動資産の多い方は、「不動産」購入を検討してみましょう。不動産の評価方法は現金や預貯金と異なり、預貯金などの7~8割程度に下がるからです。建物なら7割程度、土地なら8割程度です。
つまり現金を不動産に代えるだけで相続税評価額が全体的に下がって相続税額が減額されるのです。
また土地の場合、一定面積までは「小規模宅地の特例」という制度を適用することにより、評価額を50%または80%減にできるケースもあります。現金のまま持っておくよりも圧倒的に節税できます。

不動産の賃貸活用をする

不動産を所有しているなら、賃貸活用すると相続税対策となります。不動産を賃貸に出すと「借地権価格」や「借家権価格」が考慮されて不動産の評価額が下がるからです。
また不動産から得られた賃料を毎年110万円の贈与税の基礎控除内で相続人に生前贈与すれば、贈与税を払わずに現金を次世代に残せます。
今、活用していない不動産がある方は賃貸活用を検討してみてください。

将来の相続に不安を抱えているなら、一度専門家に相談してアドバイスを受けてみましょう。相続トラブル対策なら弁護士、財産調査や不動産の名義変更は司法書士、税金対策は税理士に相談すると有効です。今回の記事を参考に、トラブルの起こらないよう相続準備を進めていってください。

 

相続とは何か(全12 回)

この記事を書いた人:元弁護士 福谷陽子

京都大学法学部 在学中に司法試験に合格
勤務弁護士を経て独立、法律事務所を経営する
約10年の弁護士キャリアの後にライターに転身
現在は法律ジャンルを中心に、さまざまなメディアやサイトで積極的に執筆業を行っている

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