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相続税の申告方法、期限、申告しないリスクとは?必要な知識を解説

 

遺産相続するときには「相続税」についての知識と対応が必須です。
相続した遺産の評価額が一定以上になると「相続税」の計算と申告をしなければなりません。
義務があるのに納税しないと「税金滞納」状態となり、税務署から督促されたり加算税を課されたりするリスクも発生します。

今回は相続税の対象になるものとならないもの、相続税が発生する基準、申告と納税の方法などの必要な知識を解説していきます。

 

相続税申告の対象となるものとならないもの

相続税の課税対象になるもの

相続税の課税対象になるのは、以下のような資産です。

  • 現金、預貯金
  • 不動産
  • ゴルフ会員権
  • 各種の積立金
  • 保険
  • 車、貴金属、時計、アンティークコインなどの動産
  • 農機具や機械、什器備品など
  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 相続開始前3年以内の贈与
  • 相続時精算課税制度を使って贈与した財産

被相続人が所有していた「資産価値のあるもの」はすべて課税対象です。
ただし死亡保険金や死亡退職金には「相続税の控除」が適用されます。控除額は「法定相続人数×500万円」です。

相続税の課税対象にならないもの

以下のようなものについては相続税の課税対象から外れます。

  • 仏壇仏具などの祭祀財産
  • 被相続人が身に付けていた衣類などの資産価値のないもの
  • 宗教、学校教育、図書館博物館、慈善事業などの公益事業に使用するお金
  • 相続税申告時までに国や自治体、法人に寄付した財産

相続税が発生する場合としない場合

相続税は「相続財産の総額から負債と葬儀費用を引いた金額」が基礎控除額を超えるケースで発生します。

相続税の基礎控除額は以下の通りです。
3,000万円+法定相続人数×600万円

遺産の価額が低くて上記を下回っているなら相続税の申告納税は不要です。

相続税申告と納税の流れ

相続財産調査をする

まずは相続財産としてどのようなものがあるか調べます。漏れがあると「申告漏れ」を指摘されて追徴課税されるリスクもあるので、慎重に対応しましょう。

遺産の評価を行う

相続財産の調査が済んだら各財産の評価を行います。評価額によって相続税の課税の有無や課税金額が変わるので、正確に評価する必要があります。

相続税を計算する

遺産全体の評価額から負債と葬儀費用を引いた額が相続税の基礎控除を上回るなら相続税の申告と納税が必要です。相続税の税率などをあてはめて相続税の金額を計算しましょう。

相続税の申告書を作成する

相続税の申告をするときには「相続税の申告書」を「被相続人の住所地の税務署」に提出します。相続人の住所地ではないので注意しましょう。

申告書はこちらに書式があるので、利用してみてください。

税務署に提出する

申告書を作成したら税務署に提出します。

納税する

相続税の申告書を提出したら、税金の支払いをします。

相続税申告の必要書類

相続税の申告時、以下のような書類が必要です。

マイナンバーを確認できる資料

マイナンバーカード、番号通知カード、マイナンバーの記載のある住民票のうちどれか1つを用意しましょう。

身分証明書

マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、健康保険証などのうちどれか1つ必要です。

被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本類

本籍地のある役所で取得して集めましょう。

相続関係説明図

戸籍謄本をもとに自分たちで作成します。

遺言書または遺産分割協議書の写し

いずれかの方法で相続するケースでそれぞれ必要となります。

相続人全員の印鑑登録証明書

居住している市区町村で取得します。

相続税の納税方法

相続税の納税方法には、以下の3種類があります。

銀行等の金融機関、税務署

自分で納付書を作成し、銀行や郵便局にて現金で一括納付します。税務署でも支払えます。

コンビニ

納付書を作成して税務署に持ち込みバーコードを発行してもらったら、コンビニでも支払えます。ただし税額が30万円以下のケースに限られます。

クレジット決済

税額が1,000万円未満の場合、ネット上からクレジットカードで支払いができます。
こちらから確認してみてください。

申告と納税の期限

相続税の申告と納税には「期限」があります。相続開始を知ってから10か月以内に申告と納税の両方を終えなければなりません。過ぎると「延滞状態」になってしまいます。

申告しないとどんなリスクが発生する?

相続税を期限までに申告しないと、以下のようなリスクが発生します。

延滞税が発生する

期日を過ぎた日から「延滞税」が発生します。延滞税の税率は、期限後2か月までは年率2.6%、それを過ぎると年率8.9%となります。なお上記は2018年の税率であり、毎年変更されます。

加算税が発生する

相続税を申告しないと以下のような「加算税」が足されて税額が高額になります。

無申告加算税

相続税を申告しなかった場合、税務署から税務調査の通知が来るまでの間は年5%の無申告加算税がかかります。税務調査の通知後は年10~20%まで税率が上がります。

重加算税

相続税を逃れるためにあえて申告しなかった場合、相続財産を隠した場合など悪質なケースでは重加算税がかかります。
意図的に申告しなかった場合、年率40%もの重加算税が課税されます。

過少申告加算税

申告はしたけれど、本来より少額にしか申告しなかった場合に過少申告加算税がかかります。税務調査の事前通知前に自主的に納税すると課税を免れますが、事前通知を受けると年率5~15%の加算税が課されます。

刑事罰を受ける

脱税は犯罪です。悪質な場合には税法違反で逮捕され刑事裁判となり、刑罰を科される可能性もあります。刑罰は「10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金刑」です。

相続税を支払えない場合の延納と物納

相続税を一括で納付できない場合には「延納」や「物納」を利用できます。

延納

延納とは、相続税を分割払いする制度です。延納が認められると原則5年、最長で20年間の分割納税が認められます。
ただし延納するには担保を入れなければなりませんし、延納期間中は「利子税」という税金がかかるので、本来の税額より高額な税金を払わねばなりません。

物納

物納とは遺産そのものを国に納めることによって相続税を支払う方法です。たとえば不動産や株式などを物納できます。
物納を利用できるのは、延納によっても相続税を払えない場合です。
また物納する場合、遺産は「相続税の評価額」によって評価されます。不動産の場合には市場価格の8割程度に下がるので、納税者には不利になります。
通常は物納よりも不動産を自分で売却し、売却金で相続税を払った方が得です。

相続税申告を依頼できる専門家は税理士

自分で相続税評価や相続税の計算、申告書の作成をするのは大変です。正確に計算できない方がほとんどですし、払いすぎて損をしてしまう可能性もあります。
相続税の計算や申告は税理士に依頼しましょう。また税理士にも得手不得手があるので、普段から多数の相続案件を扱っている方を探すべきです。
事務所のホームページの内容を確かめて一度面談を依頼し、話してみて相続税に詳しそうだと実感できる方を選び依頼しましょう。

相続税が発生する案件ではきちんと対応しないと延滞税や加算税、刑事罰のリスクも発生します。税理士に相談しつつ、適切に対応を進めていきましょう。

 

相続とは何か(全12 回)

この記事を書いた人:元弁護士 福谷陽子

京都大学法学部 在学中に司法試験に合格
勤務弁護士を経て独立、法律事務所を経営する
約10年の弁護士キャリアの後にライターに転身
現在は法律ジャンルを中心に、さまざまなメディアやサイトで積極的に執筆業を行っている

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