【遺品整理とは】業者へ依頼するメリットや遺産整理との違いを解説
ご家族が亡くなられた時、ご遺族には深い悲しみと同時に、さまざまな相続手続きや故人ゆかりの物を整理する作業がのしかかります。その中でも「遺品整理」は、大切な思い出を整理し、保管していくための大切な作業です。しかし、遠方の親族が亡くなった際や、遺品数が多い場合は労力がかかります。
そこで、本記事では、遺品整理について業者へ依頼するメリットや遺産整理との違いについてわかりやすく解説します。ぜひご一読ください。
目次
遺品整理とは
故人を偲び、遺された品々を片付ける作業を一般的に「遺品整理」と呼んでいます。この章では遺品整理について、作業内容や遺産整理との違いを中心に詳しく解説します。
故人の遺品を整理する作業
遺品整理とは、故人が生前に使用していた家具・家電類、衣服や写真、趣味のコレクションなどを整理・処分する作業のことです。
故人の思い出が詰まった品々を一つひとつ確認し、形見分けをするものや供養するもの、リサイクルするもの、そして処分するものに分類していきます。
この作業は単なる片付けではなく、故人の人生と向き合い、遺された方々が新たな一歩を踏み出すための大切な時間でもあります。しかし、処分をともなう作業でもあるため物理的な負担だけでなく、精神的な負担も大きいため注意も必要です。
遺品整理と遺産整理の違い
遺品整理と類似した言葉に「遺産整理」という言葉もあります。遺産整理とは「財産の整理」であり、法的な知識を要する手続きが中心となります。故人(被相続人)が遺した財産は遺言書や遺産分割協議に沿って相続人間で分ける必要があり、財産の種類や金額の特定が欠かせません。
遺産整理は必要に応じて相続登記や相続税申告、遺産分割トラブルの解消なども行う必要があり、以下に挙げる専門家とともに進めることも少なくありません。
- 司法書士(不動産登記、預貯金解約など)
- 弁護士(遺産分割協議、遺留分侵害・親族間のトラブルなど)
- 税理士(相続税申告や二次相続対策、事業承継など)
- 行政書士(相続関係図作成、自動車の相続手続きなど)
遺産整理時の不安やトラブルは早めに専門家へ相談し、丁寧に進めましょう。
遺品整理・遺産整理の注意点
遺品整理と遺産整理を進める上で、注意すべき点とはどのようなものでしょうか。詳しくは以下のとおりです。
相続放棄を予定されている場合は注意が必要
被相続人に借金やローンなどのマイナス財産が多い場合、相続人は「相続放棄」によってプラス・マイナスの財産を問わず放棄することが可能です。
相続放棄をすると、故人の財産も借金も一切相続しないことになりますが、相続放棄をする前に故人の遺品や遺産を勝手に処分してしまうと、「相続の意思があった」とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。(単純承認)
例えば、冷蔵庫内の食糧などは日持ちする物ではなく処分を進めても問題ありませんが、家電類は価値がある可能性も高いため処分は慎重な判断が必要です。迷われたら弁護士へ相談しましょう。
相続税の申告期限に注意
遺品・遺産を整理する際には、必ず相続財産の種類や総額を把握して相続税申告の有無を判断しましょう。
相続税の申告・納付には、故人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内という期限があります。この期限を過ぎると、延滞税などのペナルティが課せられます。
遺品・遺産整理の途中で貴重品や財産に関わる書類が見つかることも多いため、見つけたものは相続税計算にカウントしましょう。なお、相続税には基礎控除枠が設けられており「3,000万+(600万×法定相続人数)」の枠内であれば課税されません。また、超えていたとしても特例や控除によって0円になる場合もあります。
家族の心情に配慮が必要
遺品整理は、故人との思い出と向き合うデリケートな作業です。特に、ご家族それぞれの故人への思い入れや価値観は異なるため、整理の進め方や品物の扱いについて意見の相違が生じることもあります。無理に進めず関係者でよく話し合い、お互いの心情に配慮しながら進めることが大切です。また、体力や精神的な負担が大きい場合は、無理せず専門業者の利用も検討しましょう。
遺品整理を依頼できる業者とは
遺品整理は労力がかかるケースも多く、高齢や遠方などの理由にご自身での対応が難しい場合があります。こうした場合、遺品整理の専門業者に依頼することも一つの方法です。近年、遺品整理のニーズの高まりと共に、全国に専門業者が登場しています。そこで、この章では遺品整理を依頼できる業者について詳しく解説します。
遺品整理業者とは
遺品整理業者とは故人の遺品の仕分け、梱包や搬出、清掃、処分などを専門に行う業者です。単なる不用品回収とは異なり、遺品への敬意を払い、ご遺族の意向を丁寧に汲み取りながら作業を進めてくれます。「写真はファイリングしてほしい」「衣料品は処分してほしい」など細やかな要望も受け付けてくれるため、近年需要が高まっています。
ただし、特殊清掃については各業者によって取り扱いの可否が分かれるため、確認が必要です。
遺品の供養や貴重品の探索、家具・家電などの買い取りなどのサービスを提供している業者も多く、遺族の物理的・精神的負担を大きく軽減してくれます。ただし、遺品の取り扱いについては「遺品整理士」が在籍していることがおすすめです。
遺品整理士とは
遺品整理士とは、一般社団法人遺品整理士認定協会が認定する民間資格です。遺品整理に関する専門知識や法令(廃棄物処理法、古物営業法など)に関する知識、遺品を適切に扱うための心構えなどを習得したプロフェッショナルです。
遺品整理業者の中には、遺品整理士の資格を持つスタッフが在籍しているところも多く、より安心して作業を任せられる目安となります。
遺品整理を業者に頼んだほうがよいと思われるケース
相続開始後はさまざまな諸手続きに追われやすく、日常生活と並行した遺品整理に苦労する方も多くなっています。そこで、以下のようなご状況の場合は、遺品整理業者への依頼を検討しましょう。
物理的・時間的な負担が大きい場合
- 故人の住まいが広範囲にわたる、または物が非常に多い
- 大型家具や家電など、一人では運び出せない物が多い
- 遠方に住んでいて頻繁に故人の家に行けない
- 年齢や身体的な理由で重労働が難しい
遺品整理を業者へ依頼する理由には、物理的・時間的な負担を減らしたいという要望が多く寄せられています。
精神的な負担が大きい場合
- 遺品への思い入れが強く、ご自身での整理が辛い
- 子や孫などの遺品を整理する必要があり精神的な負担が大きい
- 突然のご逝去のためショックが大きく作業が進まない
突然のご逝去などを理由にショックが大きく、遺品整理が進まない際には遺品整理に理解がある業者へおまかせすることも検討しましょう。
特殊な状況の場合
- 「ゴミ屋敷」状態になっており、通常の清掃では対応できない
- 孤独死などで、特殊清掃が必要
- 遺品の中に何らかの事情で扱いにくいもの(大量の書類、プライバシーにかかわるもの、特殊なコレクションなど)がある
- 疎遠な親族の遺品整理のため、あまりかかわらずに処分を終えたい
疎遠な親族の遺品整理も負担感が大きいものです。こうした事情がある場合も、専門業者のサポートを受けることが望ましいでしょう。
まとめ
遺品整理は故人への思いを大切にしつつ、残されたご家族が新たな生活に進むために必要な作業です。しかし、時に負担が大きくなりやすくご家族だけで抱え込むには限界もあります。そんな時は、遺品整理業者や遺品整理士に相談してみることもおすすめです。
故人を偲びながらご自身の心身を守り、そしてトラブルなく手続きを完了させるためにも、適切なタイミングで専門家のサポートを検討し、計画的に進めていきましょう。